大学のミスコンのSNSが無料キャバクラと化している件

大学/学生

例年7-8月頃から、全国の多くの大学で学園祭の企画の一環としてミスコンテスト/ミスターコンテストが開始される。
出場者は11月頃の学園祭当日に向けて、SNSなどで自分をPRして露出を高めていく。そして当日は舞台でパフォーマンスをするというのが一般的な流れだ。投票は基本的にSNSを介して行なわれるため、容姿や個性に加えてSNS運用の巧拙が物を言う。

なお、ミスコンテスト/ミスターコンテストと一口に言っても、大学によってその特色は異なる。
青学などのようにアナウンサーの登竜門と化しているような容姿レベルの高いものもあるが、美男美女ばかりとは限らない。完全にお笑い感満載のものもあれば、混在しているものもある。

とはいえ「ミスコン/ミスターコンの出場者」という記号が付いた者の多くは、普通の学生であっても往々にして自らの写真やお洒落っぽい日常をSNS上にアップするなどアイドルのような立ち振舞いをするようになる。そして周囲も途端にそれに注目しだす。というのはなかなかに興味深い現象である。

ミスコンおじさん

このようにSNSが主戦場となった昨今の大学ミスコンであるが、例年「ミスコンおじさん」と呼ばれるアカウントが多数出没し、日々リプライなどでミスコン出場者に絡んでいく光景が見られる。
「投票しました」「ポチッ」などと書いて1端末から1日1回できるWEB投票の完了画面をスクショして添付する者が多い。(ミスターコンおばさんもいる)

出場者としては自分への投票を続けてほしいので、往々にしてそのような構ってちゃん的投票報告に逐一応答していくことになる。ミスコンおじさんとしては、お金がかからない上に手軽に繋がれて相手してくれる(一般的なアイドルなどにリプライをしても返信などは期待できない)から、様々な欲求が満たされるのだろう。つまりは全国のオッサンたちが集う無料のSNSキャバクラと化している。

そういうわけで、絡んでくれる可愛い女の子を求めて彼らは全国の様々な大学のミスコン出場者に大量のメッセージを送りつける。リプライ欄は時に地獄絵図と化す。

もちろんミスコンおじさんたちに心理的に支えられる人もいると思われるし、ミスコンおじさんの中には純粋に若い子を応援したいという人たちもいるのかもしれないが、その類いのアカウントを見る限り、ただ女の子に構ってもらいたいという非モテオヤジ感満載のものが圧倒的多数である。

こうしたミスコンおじさんなどに対してあえて媚びずに自分の個性や魅力を出していくことに集中する出場者は少ない。
もちろんそうした報告が本当に励みになる出場者もいるとは思うが、一方でその対応に疲れてしまう者も少なからずいる。(報告に留まらずイチャモンを付けてくるなど色々ある)

大学ミスコンは今:「かわいいね」 返信迫るミスコンおじさんに疲弊 SNSで競争過熱 | 毎日新聞
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大学ミスコン界隈に物申したいこと

オンライン投票が主流の大学ミスコンでは、ミスコンおじさんたちの人気を獲得した者が有利となる。しかしそもそも、大学と直接関わりのない全国のミスコンおじさんたちの大量票で大学のミスターやミスが決まってしまうというのはどうなのだろうかと思わざるを得ない。大学のミスター/ミスコンテストの意義について、開催側(主に学園祭実行委員会)は改めて考えた方がいいのではないかと思う。

何のためにミスコンをやるのか。昨今、外見主義や順位付けなどへの疑問からミスコン開催を取り止める大学も出てきている。開催するにしても、どのようなコンセプトで、誰にとってのどのような価値を生み出し、どのような形で締めくくることを理想とするかを言語化して取りまとめ、それに沿った企画にするべきだろう。

そして出場者側も、本当に何かを伝えるべき相手はどこにいるのか、そもそも何のために出場しているのかを明確にした方がいいだろう。世のおじさんたちを喜ばせたいというのがその答えであるならばそれも一つの正解だと思うが、大して何も考えずに流されているのだとすれば、改善の余地がある。

余談

実は私も大学ミスターコンに一度出場したことがある。
目立つことで様々な面白い機会が得られると思ったから、そして自分という商品を如何に面白く売り込んでいくかという実験をしてみたかったからだ。

先に述べたような「出場者がこぞってアイドル的振る舞いをする」光景に違和感を抱いており、何より全くつまらないので、大衆迎合的ではない、好感度が高まるわけでもない振る舞いを繰り返していたら、色々あって学園祭実行委員長に呼び出されて出場停止となった。(そしてその直後に独自開催を果たした)

色んな失敗もあり、もっとこうすれば良かったという要素がたくさんあった。だから人にどうこう言えた身分でもないが、母校含め全国の様々な大学で今年も開催されているのを見るにつけ、そう思わざるを得なかったので書き記しておいた。

2021/09/15

トップ画像引用元:映画.com 俳優・監督 森咲智美

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