Fランを遙かに超越するJラン大学に潜入したらあまりにもヤバすぎた

体験

書くかどうか正直かなり迷った。しかし、多くの人に真実を知ってほしいという想い、そして、自分自身が前に進まなければならないという想いから、心の整理を兼ねてこの記事を綴る。

私はこれまで様々な大学に潜入してきた。東京大学、慶應義塾大学、大阪大学のような有名どころもあれば、拓殖大学、目白大学、帝京平成大学などといった、あまり知られていない大学も。

その中で、Fランとされる大学にも何度か行ったことはあるが、どこも概ね平和すぎて、ネットで書かれているような治安が悪いだの何だのといった凄まじい光景に出くわすことは一切なく、刺激不足で欲求不満を募らせていた。

そんなある日、ニューヨーク帰りの友人MKと久しぶりに会い、飲みにいくことになった。

どんな会話の流れでそうなったのかは覚えていないが、

「Fランを遙かに超えるJラン大学ってのがあるらしい」

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友人のMK ※イメージ

何かの拍子に彼はそう言った。

半信半疑で彼の話を聞いていた私であったが、その真に迫るような話しぶりに、これは行くしかないと判断し、気が付けば数日後には電車に揺られて現場に向かっていた。

Jラン大学。

Fラン大学という言葉は知っていても、この言葉を聞いたことのある人は、恐らくほとんどいないであろう。私もそのとき聞いたのが初めてだった。

F、G、H、Iの次にやっと現れるアルファベット、それがJ。
Fラン大学など比較するのもおこがましいほどの凄まじい世界。

詳しい定義は分からないが、某世紀末のごとく、モヒカンの男どもが授業中に「ヒャッハァーdrftgyふじこ!!」などと叫び狂いながら金属バットで殴り合うことすら異常とは形容されぬレベルと言っても過言ではない、21世紀の日本における数少ない魔境であるとされる。

Jラン大学はいくつかあるらしいが、私は居住地からもっともアクセスの良い関東圏のとある大学に焦点を絞った。(具体名は伏せさせていただく)

事前にその大学についてネットで調べたところ、キャンパスで学生による殺人事件が発生したことがあるだの、警備員が多数巡回しているだの、嘘か誠かは分からないが、ガチだとすれば相当狂っていると思わざるを得ない記述が散見された。

新宿から3~4度乗り継ぎ、さらにバスに乗り、着実に近付いていく。

バス停での一枚

その大学は小高い丘の上にあった。

出発したのは朝9時頃だったが、着く頃には既に昼を回りかけていた。

バスを降りて歩くこと数分、校門に差し掛かる。大きな校門ではなかったが、警備員が3人も配備されている。着実に期待が高まっていく。私は一呼吸置いてから、魔界への門を潜った。

キャンパスに入ると、ネットでの噂通り、どんよりとした雰囲気が確かに感じられた。

とはいえ、案外学生たちはファッション的にもそこら辺の学生と何ら変わりなく、大人しそうな者ばかりである。

芝に寝転がって遊んでいるごく普通の学生もいた

どこでもそうだが、真面目な人間が基本的にはマジョリティなのかもしれない。
しかし、どことなく顔が死んでいる人が多いと感じた。

カメラを回しながら学生を観察していると、話しかけやすそうな雰囲気の人がいたので、声をかける。

「こんにちは、この大学の学生の方ですか?」
「そうです」
「僕は別の大学の人間なんですけど、この大学について少しお聞きしてもいいですか?」
「いいですよ。あ、カメラ回さない方がいいですよ。危ないですから」

文系学部2年生の彼曰く、この大学、なんと卒業生の半数近くがフリーターおよびニートになるという。
しかしそもそも卒業まで辿り着く者は全体の3~4割程度なのだという。(なぜか年度によって差が出るらしい)
2年生である彼の学部の同期も、既に3割ほどが中退したという。
ただし、医療系の学部は割と真面目な学生が多く、8割は卒業するらしい。やはり専門系は強いということだろう。

なお、彼は様々なFラン大学を受験するもことごとく滑り、ここにやってきたらしい。真面目勢は概ねそんな感じの不本意入学のようだ。(少数だが、特待での学費免除を目当てに入学する学生もいるらしい)

写真を撮っていると余所者と思われてターゲットにされるかもしれないと彼は言っていた。過去に、私と同じような潜入を試みて、リンチに遭った人がいたのだそう。本当にそんなことがあるのかと疑わしい気持ちだったが、従うことにした。この先は基本的にイメージ写真のみでお送りする。

「授業中に暴れ出すような学生もいるって聞いたんですけど、本当なんですか?」
「あー、いますよ。でもそういう奴は大体入学してすぐに学校に来なくなります」

この手の質問は聞かれ慣れているのだろうか、少しうんざりしたような顔つきだった。

「じゃあ、基本的には平和な感じなんですね?」
「試験期間になると、それまで大学をサボっていたそういう人たちの一部が学校に来るので、そこでよくトラブルはありますね」

ただし、試験を受けにくる層は、試験を受けにくるだけあって本当にヤバい層ではなく、まだ話が通じる傾向にあるのだという。ネットに書かれている話には誇張されたものもあるとのこと。少し安堵した。それでも充分ヤバいが。

「そもそも、そういう学生はなんで授業中に暴れ出したりするんですか?」
「大抵は喧嘩ですね。近くの席の人と目が合ってメンチを切っただのなんだのって言い合って取っ組み合いが始まったケースは4月とか5月には何度か見かけました」

「他にはどんなケースがあるんですか?」
「教授にイチャモンつけて騒ぐ学生も結構いました。声が小さいとか、つまらないとかヤジを飛ばしたり。まあ先生たちもそういう学生には慣れているので、軽くあしらったりするんですけどね」

他にも、休講狙いで教員をいじめる学生やらノイローゼになって退職する教員がいただとか、授業を聞いている学生はほとんどいないだとか、教員のやる気はほとんどないだとか、出席者ゼロの授業があっただとか、最高学府にあるまじき様相を呈しているということが分かってきた。

大学運営側としても学生に簡単に辞められては学費を回収できなくなるので、授業の単位は驚くほど簡単に取れるという。しかしそれすら取れない学生が多いのだとか。

なお、丘の上にそびえていることもあり、近隣住民や一部ネット民からは「猿山」とも形容されているらしい。

しかし、どうもまだ信じられない。ここは腐っても大学であるはず。
その後も、真相を確かめるために、他の学生たちからのヒアリングを続けた。

「何を勉強してるんですか?」
「何もしてない。授業も行ってない」
「授業行かなくていいんですか?」
「単位取ったら負けかなと思ってる」

「キャンパス内で煙草吸ったらダメらしいですよ」
「あー大丈夫これ草(*marihuana)だから」

「ちょっ、歩きスマホ危ないですよ」
「これガラケーなんで、歩きスマホじゃないですけど何か文句あんの?」

「こんにちh」
「あぁ~世の中を!ヴッ 変えだいッッ!!!」
「ゲラゲラ(他の学生たちの笑い声)」

基本的には普通の学生が多かったが、2~3割くらいの確率でこのような世間の常識を逸脱した会話が繰り広げられた。常識とは何なのかと考えさせられた。

学生数の割に閑散としたキャンパスであったが、こうして様々な学生とコミュニケーションを取るうちに、実に多様な学生が生息していることが分かってきた。(直接会っていない学生を含む)

・回転寿司屋でアルバイトをするも寿司ネタに鼻クソを混ぜるという動画を撮って炎上してクビになったという男子学生(文系3年。損害賠償支払いのために休学してゲイ風俗で働いていたとのこと)

・全身にビッシリとタトゥーが入っているために銭湯を追い出されて逆上して器物損壊で捕まったことのある学生(文系3年)

・授業中に彼氏とセ〇クスチャレンジをしたという女子学生(理系2年。教員には明らかにバレていたが何も言われなかったらしい)

・麻雀で負けて授業中に脱糞する罰ゲームを実行した男子学生(理系1年。流石にあとで掃除させられたらしい)

・学食でデザートのプリンの取り合いをした結果、相手に重傷を負わせてしまって退学し、その後たまにキャンパスに遊びにきている元学生(顔に大きめのタトゥーあり)

・使用済みパンツをキャンパス内に隠すことにハマッている女子学生(理系2年。ファンがいるらしい)

・少年院出身であることから院卒を自称する男子学生(文系1年)

などなど、強烈なJランエピソードをたくさん仕入れることになった。ネタじゃないかと思うものもあったが、いずれにせよ私的にはかなりツボだった。テンションが上がってくる。

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ここは人目につかなさそうだったので撮影

歩いていると、サビれた感じの校舎があったので、入ってみた。
物音がほとんどしない。使われていないように見える。
近くには廃材のようなものがたくさんあった。

3階まで歩いて上った。すると、何やら近くの教室が騒がしい。

こっそり覗いてみると、衝撃の光景が広がっていた。

目の焦点が定まっていないかつ腕に注射痕が大量にある学生(覚醒剤常習者だろう)、ランドセルを背負った状態でゲラゲラと1人で笑いつづけている学生(キマッているのだろう)、ゲロにまみれながら乱交している3~4名の男女など、10人くらいの学生集団だった。ドラッグパーティだ。

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イメージ画像(裸の人は半分くらいだったが)

1人だけ、まっけんゆう似のどちゃくそイケメンな人もいた。

彼は「キェエエエェェッ!!ヒィァアアァァーッッ!!」などと何度も奇声を発しながら床を美味しそうに舐めていた。

「ここは本当にジャパンなのか?いやこれはきっと夢だ。そうに違いない」

話に聞くだけならまだしも、いざこのような場面を見せつけられると、呆然とせざるを得なかった。先ほどの学生たちの話を半信半疑で聞いていた私であったが、リアリティが一気に押し寄せてくる。ショックを受けて立ちすくんでいた。

「おい何見てんだコラッ!」

傷害前科5犯くらいはありそうな顔、いや既に何人か殺してそうな顔の、厳ついスキンヘッドのマッチョに見つかった。物凄い勢いで迫ってくる。

一瞬で「コイツはヤバい」と察知した。私は生まれて初めて心の底から震え上がった。真の恐怖と決定的な挫折に。恐ろしさと絶望に涙すら流した。これも初めてのことだった。

「すみません、間違えました」

そう言い放って泣きそうになりながら、すんでのところでなんとかダッシュで逃げた。
これほどダッシュしたのは南米の狭い路地で野良犬に追いかけられたとき以来だろう。

くそっ多分私の方がずっと年上(私は大学5年生+1)なのに、尻尾を巻いて逃げるハメになるとは。屈辱だった。

「俺のシマに勝手に入んじゃねぇ!」という叫びが背後から聞こえてくる。どうやらこの校舎は彼の縄張りのようだ。道理で他に誰もいないわけだ。

気を取り直して、授業にも潜入しようと思い、声が聞こえる教室に入ってみた。一般教養のジェンダーの授業だった。

しかし、50名以上を収容できる規模の教室にもかかわらず、学生が2人しかいない。

しかも、そのうちの1人は背中を丸めて足の爪を噛み、もう1人は明らかに携帯でゲームをしている。音ゲーのようだが、ヘッドホンからの音漏れが酷い。なぜコイツらはここにいるのだろう。

教員も明らかにやる気がない。私が授業開始後30分遅れで入室したにも関わらず、何事もなかったかのように授業を進めている。高齢だからなのか滑舌がかなり悪く、何を言っているのかよく分からない。

10分と経たずに眠くなってきたので退室しようと思った矢先、

「疲れたので今日はこれまでにしておきます」教員は薄笑いを浮かべながらこう言った。

教員の一身上の都合で、授業は通常の半分くらいの時間で終わった。

「やれやれ、とんでもないところに来てしまったものだ」

イメージ

心の整理がつかないまま、校舎の外に出ようとすると、何者かに首元を引っ張られ、バランスを崩してよろめいた。

3人組のチンピラ学生だった。

うち1人が、私が背負っていたリュックを強引に引きはがそうとしてきた。私は抵抗したが、数人が相手となれば相当不利である。

3人組の彼らのうちの2人に両腕を掴まれ、リュックが彼らの手に渡る。私は廊下になぎ倒された。

クリスマスの朝、ツリーの下にプレゼントを見つけた少年のごとき勢いで、1人がリュックをガツガツと漁りはじめる。

「カネを出せ。全部だ」ボスっぽい風格の男がドスの効いた低い声で言い放つ。

まさか日本の大学キャンパス内で恐喝に遭うとは思ってもいなかった。

ここはブラジルのスラムなのか?中東の紛争地帯なのか?パニックに陥った。

騒音に気付いたのだろう、さっきの授業の教員が引き返して遠くからこちらを眺めていた。しかし、ボス格の男に恫喝されてスゴスゴと去っていった。どうやら見捨てられてしまったようだ。もはや助けは望めない。素早く校舎を去るべきだった。

こういうとき、普段私が思い描く脳内シミュレーションでは、相手を油断させておいてその股間に強烈な蹴りを瞬発的にお見舞いし、体勢を崩した相手の背中にエルボーを数発かましてから蹴り倒すというコンボを発動することになっていたはずだが、いざ実際にそのようなシチュエーションになると、面白いくらいにカラダが上手く動かない。

「聞いてんのかゴルォァ!!」

ポケットに強引に手を突っ込まれる。財布をもぎ取られる。

以前歌舞伎町で働いていたとき、携帯は盗っても売るのは本人じゃないとできないからカネになりにくい的なことを聞かされたことがあったが、彼らはお構いなしに携帯をも奪い取った。

財布から出てきたのは、4~5枚の野口氏と小銭だけ。

「ちっ、シケてんな」

(残念だったな、俺は現金はあまり持ち歩かない主義なんだよバカが!)

情けない話だが、心の中で粋がるので精一杯だった。

「まあいいや、銀行のカードか通帳は?」

なん…だとっ…?

「持ってんだろ?!正直に言えよ。シバかれたいの?」

「も、持ってないんです」私は声を震わせながら今にも泣きそうな声色で(いや既に泣いていただろう。今だから言うがパンツもちょっと濡れていたと思う)、そしてなぜか青森弁っぽいイントネーションで答える。

「あ、ありました先輩、ゆうちょ銀行のカードです」

チンピラの1人が財布からカードを発見した。

「ちょっホント勘弁してくださいって」
「あるんじゃねぇか、嘘ついてんじゃねぇよ暗証番号教えろよ」
「いやそれは…」

容赦ない蹴りがふくらはぎに飛んでくる。骨が折れるかと思うほど痛い。

「大人しく教えろっつってんの。日本語分かる?」
「いや、もう預金ほとんどないんで…許してk」
「預金少ねぇなら全部盗られてもダメージねぇだろ。いーからとっとと教えればいいんだテメェはよ!」

どんな堂々とした男でも、向かうところ敵なしみたいな雰囲気のある奴でも、そう、例えば俳優全盛期のシュワルツェネッガーや軍隊上がりのプーチン大統領、与沢翼や麻生太郎、そこら辺の厳ついヤクザなどであっても、ひとたびこうやって窮地に追い込まれれば、大抵はこのように目も当てられない状態になるのだろう。

「分かりました教えます、暗証番号はサンgファッ‼︎」

言い終わらないうちに追加の蹴りが飛んでくる。鋭いキックだ。

3人が私を取り囲み、薄ら寒い笑みを浮かべながらキックの雨を降らせる。私は浦島太郎の亀のような状態だった。止む気配がないし、浦島太郎は助けに来ない。これでは暗証番号を教えることができないじゃないか。奴らの目的はカネを奪うことから私をいたぶることに切り替わったようだ。

(コイツら、多分サッカー部崩れやろな)なんて思いながら、私はボコボコにされていた。

それはそれはボコボコにされた。
ボコボコという効果音はこの日のために生まれてきたのかと思わされるくらいボコボコにされた。
ボコボコの総合商社かと言わんばかりに、あらゆるボコボコが繰り出された。
ボコボコの権化とはまさにこの瞬間だったのだろう。

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そういえばボコボコとポコポコはあってもホコホコはないよな、ホカホカはあるけど…なんて素朴な疑問が脳裏をかすめたこと、そして「決して振り返ってはいけないよ。 校門を出るまではね」という謎の囁きが聴こえたことだけは、僅かながら覚えている。

気が付けば私は校門の前に立ちすくんでいた。
リュックを背負っている。財布も携帯もポケットに入っている。

状況が理解できない。

赤みがかった空にうろこ雲が流れていて、まるでキメの粗いバニラ味のラクトアイスにオレンジ果汁を染み込ませたかのような光景が広がっている。寺の鐘が鳴り止んだ直後のような静寂が広がる。

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痛む右拳に目を遣ると、紅く血に染まっていた。まだ乾いていない。
知らない財布もいくつかポケットに入っている。
よく分からないが、どうやら私の中の何かが覚醒してしまったらしい。

アクション映画で強敵を倒したあとのラストシーンのように、カラダはボロボロながら心は澄み渡る秋空のごとく穏やかだった。

「おいキミ、何してる。血まみれじゃないか」警備員がこちらを見て驚いている。
私は茫然自失の表情で彼らに取り押さえられた。全身が脱力し、スッと気を失った。

それからの数日間、ほとんど記憶がない。

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Jラン大学。

それは、決して一般人が踏み入れてはいけない、21世紀日本最大の魔境。

今もなお、Jラン大学はひっそりとこの地上のどこかで狂気を晒しつづけている。

※この物語はフィクションです。

2019.08.28

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