大学5年生が他大学のサークルの新歓にその大学の1年を装い潜入した結果(大正大学編)

体験

2019年4月某日の夕方、西巣鴨駅で下車した私は、大正大学のキャンパスへと向かっていた。
目的は、大学の新歓イベントへの潜入だ。大学5年次の身でありながら、別の大学の新歓に、その大学の新入生を装って溶け込むという非日常的な遊びである。

早稲田大学の新歓潜入で味をしめた私は、別の大学にも潜入してみたいと考えていた。

コロンビアで知り合った関西の大学5年生であるRも新歓潜入に興味があり、就活で上京してきたタイミングで一緒に潜ることになった。

大学の特徴や新歓の開催日などをもとに、潜入先を検討していく。

一度は法政大学のスペイン語サークル(飲みサー)に潜ることが決まりかけたが、問い合せたところ既に定員に達しているとの回答であり、諦めることに。

その後も模索する中、Rの提案により大正大学に潜ることになったのであった。

当日、新宿で用事があった私より一足先に現地に向かったRは、潜入にあたっての偵察を遂行していた。

大正大学についてはTwitterなどにサークルの新歓情報があまり露出していなかったため、当日の潜入先があるかについては不透明な状態であったが、「まあなにかしらあるだろう」と楽観的であった。

キャンパスの正門付近でRと合流する。まだ授業中のようで、学生はまばらだ。部活やサークルが新歓の勧誘を始めるまでの間、キャンパス内を徘徊することにした。

大正大学は、1926年に設置された仏教系の私立文系大学である。キャンパス内には礼拝堂や観音堂といった仏教施設も設置されており、仏教学部が存在し、仏陀会なる学内イベントも。
とはいえ学生は仏教徒ばかりかというとそうではなく、心理社会学部や表現学部など、仏教と関係のない学生がマジョリティだ。全国でも珍しいカバディ部があることで知られている。

キャンパスをぐるっと廻って戻ってくる頃には、いくつかのサークルが新歓の勧誘を開始していた。それらの中から、人数規模や男女比や雰囲気などを考慮し、(マジックなどの)パフォーマンス系サークルに溶け込むことにした。

徒歩10分以上先にある公園でお花見をするという。既に先輩たちは会場の設営に取り掛かっているらしく、数名の先輩に引率される形で、私とR含む新入生たちは正門に向かって歩き始めた。

そのときだった。

先輩が「事前に学部学科名と学籍番号を控えさせてもらっているので教えてほしい」と私たちに告げたのである。

新入生の学部を把握しておくのは新歓で交流を促すなどする上で使える情報になりうるだろうからまだ分かるが、学籍番号まで把握する必要があるのか?まさか、外部の人間であると疑われている??

しかし、彼らは専用のメモ用紙を手に持っていたし、他の新入生にも同じ対応をしていたので、どうやら特段私たちを怪しんで聞いてきた感じではないらしい。

上級生や外部の人間の潜入防止のための確認であるという可能性が濃厚だろう。
あるいは、学生のメールアドレスは学籍番号に紐付いているため、新歓後の連絡のために把握しておくことになっているのかもしれない。

何にせよ、下調べもろくにしていなかったため、そもそもどんな学部があるのかも把握していなかった。
また、学籍番号は大学や学部によって桁数や数字の並び方が異なるため、テキトーなことは言えない。

「(ヤベェ…バレる)」

挙動不審になっている自分に気付き、聞こえなかったフリをして聞き返しながら、この事態にどう対応するか必死に考える。

咄嗟に電話がかかってきたフリをして、先輩から少し離れた。

そして不意に電話が切れたフリをして掛け直すべく携帯をいじるそぶりを見せつつ、Googleで「大正大学 学生証」と画像検索する。

すると次のような画像が出てきた。

一部加工しています

学部学科の名称および学籍番号の並び方を確認後、先輩のもとに戻る。

「すみません電話かかってきちゃって…あ、所属と学籍番号でしたっけ。文学部歴史学科で、1902060、山田コウキ(お馴染みの偽名)です!」こうしてなんとか事なきを得た。

Rはというと、インフルエンザか何かに罹ったせいで今日初めて大学に来ることができた、ゆえに学生証をまだ受け取っていないので学籍番号も分からない、という設定で切り抜けていた。

会場に向かいながら、私とRは先輩や新入生らとそれぞれ会話を交わし、情報収集に勤しんだ。

既に暗くなった空の下、公園には大きなブルーシートが何枚か敷かれており、40人ほどの学生たちが集まって和気あいあいとした空気が流れていた。
名前を書いたガムテープを服に貼り、ソフトドリンクを入れた紙コップを手渡され、大きな輪を描く形で各々が腰を下ろす。サークルの代表らの挨拶が終わったあと、夜桜をバックに新歓飲み会がスタートした。

電灯機能をオンにした携帯の上に紙コップを置いてランタンのように光らせるというカルチャー(?)が印象的だった。

左隣に座るRや右隣に座る先輩、ソフトドリンクを注ぎつつ絡んでくれるその他の先輩らと雑談を交わしていると、自己紹介の時間がやってきた。
出身と所属と名前、呼ばれたい名前、やりたいパフォーマンスのジャンルなどをネタに、先輩たちと新入生らが時計回りに自己紹介を繰り広げてゆく。先輩たちはしっかりとリアクションを取り、場は盛り上がっていた。私の順番が回ってきた。何人かが私にライトを向ける。

Rが撮影

「はい、医学部医学科の、えー山田コウキです」最初からいきなりふざけてみた。(大正大学に理系学部は存在しない)
「関西から来ました」と話すと驚きの声が上がった。大学全体を通して東京出身者が大半であるらしい。(だから大抵の学生は自宅から通っているようだ)

続いてRが自己紹介する。間違えて本名を言ってしまい、「ちょ色々あって」と笑って誤魔化しながら挙動不審になっていた。大阪出身という設定で、「(呼ばれる)名前は何でもいいです」と言うと、「タコ焼き!」とその場であだ名がつけられていた。

その後は皆自由に座席移動しつつ、会場は終始楽しい雰囲気に包まれていた。
今後の連絡のためにと何人かからLINE情報を尋ねられたが「さっき他の人に伝えました!」などと言って切り抜けた。

パフォーマンス系はウェイのイメージがあったがそういうわけでもなく、早稲田大学と同じく皆フレンドリーで良い人たちだった。特に怪しまれることもなく時は流れ、健全な時間に解散となり、平和に終わりを迎えた。あのとき仲良くしてくれた皆さま、申し訳ございませんでした。

大学新歓期は間もなく終焉を迎え、潜入できたのは2大学のみという結果になった。もっと色々潜ってみたかったなと思う。

というわけで、新歓の季節にスリルを求めたい大学生は、ぜひ他大学の大学に潜入してみてはいかがだろうか。

第一弾(早稲田大学編)はこちら。

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