2018年、留学先の大学の長期休暇を利用して、6月3日から14日にかけて、キューバを旅した。
キューバは、それまで行った国の中で、最も興味深いと感じた国であった。
観光地を除けば、キューバに関する日本語情報は、そう多くはない。
観光地情報は他のブログ等に譲るとして、ここでは、現地で仕入れたり自分で調べたりした、これからキューバに行こうとしている人にも本当に役立つキューバの情報を一挙伝えようと思う。15000字超というボリュームになっている。
キューバではWi-Fiがあまり使えない。しかし、無料アプリ「Pocket」にこの記事を入れておけばオフラインで見られるので心強い。
Read It Later, Inc無料posted withアプリーチ
渡航・入国編
ツーリストカードは航空会社によっては用意してくれる
日本からキューバに行く際は、大使館に連絡してツーリストカードという一種のビザを取得しなければならない。これが、なかなか面倒らしい。
しかし、航空会社によっては、機内で配布してくれるものも。
私はWingoという航空会社でキューバに行ったのだが、搭乗口の受付でいくらか払うことで、簡単に入手することができた。
保険証は確認されなかった
キューバに入国する際は、ツーリストカードと海外保険証が必要であるというのが通説。
しかし、チェックインカウンターでも入国審査でも、確認されることはなかった。
他の日本人の書いたブログを見ても、同様に必要なかったという人がいる。
ただ、こうした制度はよく変わるらしいので、最新情報を押さえておきたい。
キューバにドローンは持ち込めない
一緒に行った友人が首都ハバナに到着したあとに空港で没収されていた。
なお、帰りに空港で受け取り可能。
ハバナの空港からのバスは、国際線からだと乗りにくい
首都ハバナの空港から市街に出る主な方法は、
・シャトルバス
・公衆バス
・タクシー
だが、シャトルバスはツアーで来た人向けのお迎えバス。
タクシーは、たとえば旧市街に出ようものなら15CUC(=15USドル)ほどかかってしまう。
一方、公衆バスは日本円で約10円という破格で街に出られるのだが、国際線のある第3ターミナルからはこのバスが出ていない。
このバスに乗るには、国内線のある第1ターミナルに別のバスで移動するなどする必要がある。
また、このバスは本来的には国民向けであり、ぎゅうぎゅう詰めのハードな環境と聞く。
だから、バスよりも乗り合いタクシー(taxi colectivo)で、割り勘で移動するのがもっともコスパが高いだろう。
宿泊編
カサと呼ばれる民泊
キューバにはゲストハウスやホステルはあまり多くない。(首都ハバナには結構あるが)
代わりに、カサ・パルティクラル(casa particular)という民宿がたくさんある。
そうした民宿は、Airbnbなどで事前に予約しておくこともできるし、現地で飛び込んでいくこともできる。
部屋代で支払うことになるのが一般的であるが、1人のスペースにしては十分すぎるほど広い。仲間がいれば割り勘で節約できる。(私の場合は5人で1人1泊1000円程度)
一人旅だと結構な出費になってしまうだろう。
3都市のカサに宿泊したが、どこもエアコンや冷蔵庫やシャワーが自由に使えるし、割と快適であった。(ネットはない)
民宿なので、オーナーやその家族らとお喋りなどして交流しやすい。(彼らは別の部屋や建物で生活している)
課金すれば朝食を準備してくれる。経験上、コスパはあまり良くない。また、門限はなかった。
カサにあるノートで情報収集
情報ノートとも呼ばれるそうしたノートには、キューバ観光情報などを過去の宿泊者たちが書いている。
日本人がよく宿泊するような宿に行けば、日本語で情報収集することができるという。
カサの冷蔵庫の中身は物価が高い
どのカサにも部屋に冷蔵庫があり、水やジュースが入っていた。
しかし、いずれも通常価格の5倍くらいしたりするので、注意が必要である。
飲んでしまったとしても、チェックアウト前にスーパー等で買い足しておけば問題ない。
ホテルという選択
ホテルには泊まらなかったので詳細は分からないが、宿泊費が高い分、Wi-Fiがあったりと過ごしやすいだろう。
リゾート地では先進国並の宿泊費がかかってくる。
通貨編
キューバには2種類の通貨がある
これはキューバの基礎知識だが、通貨が2種類流通している。
外国人向け通貨のCUC(クック、セウセ)、そして、キューバ国民向けのCUP(クップ、モネダ ナシオナル)である。
1CUCは1USドルであり、25CUPの価値がある。
外国人でもCUPは使えるし、キューバ人でもCUCは使う。
基本的に、CUCを使おうがCUPを使おうが値段は変わらない。
キューバ通貨の入手方法
空港に着いたら、両替所に並ぶか、ATMで引き出すか。
両替所は長い行列がつきもの。
円やユーロから換金可能だが、米ドルから換金する場合はレートが悪くなる。
ATMで引き出す場合は、アメリカ資本のクレジットカード・デビットカードでなければだいたい使用できる模様。(VISAカードなど)
なお、両替所でもATMでも、CUCしか手に入らない。
また、キューバの通貨は外貨に換金できないそうなので、両替・引き出しは計画的に。
お店のメニュー表示には注意が必要
価格表示がCUC(つまり数字が小さめ)の店は観光客向け、CUP(数字が大きい)の店は地元民向けであると考えてよい。この写真はローカルカフェのメニューであり、CUP表記。
もちろん、どちらで支払ってもサービスを受けることができる。
これをよく理解していない観光客が、本来4CUPのものに4CUC払ってしまうこともよくあるという。(25倍の料金)
もちろん商売側としてはお得なので、教えてくれないこともあるらしい。
CUPならメッチャ安く買えるけどCUCで払うと高くなる、などと書かれているブログなどもあるが、それはCUP表示に対してCUCを払ってしまったということだろう。
25CUP=1CUC=1米ドル(=108円前後)なので、1CUP=4円くらい。
なお、レストランのチップは勘定に自動的に含まれている。(10%)
お札の違いは認識しておく
キューバではクレジットカードは基本的に使えない。(空港では大体可能)
そのため支払いは現金になるわけだが、CUCとCUPの見た目の違いを認識しておくことが防衛手段となる。CUCの方には”pesos convertibles”という表記があることを覚えておくべきだろう。
下手をすると、例えば4CUCのお釣りのはずが4CUPを渡されて、それに気付かず損をするなんてこともあるかもしれない。(400円のはずが16円になってしまうということ)
私は滞在を通してそのように誤魔化されたことはなかったが、スペイン語の分からない人は舐められて騙されることもあるかも。
CUCからCUPへの両替は必要?
結論としては、特に必要ない。
12日間の滞在で見た限りでは、CUPしか使えない場所というのはほぼなかった。
会計の際に勘違いや騙されるリスクを減らす手段として、CUPを持っておくのも一つかもしれないが、CUPだと紙幣や小銭が多くなり、かさばってしまう。
両替をする場合は、街中の銀行に行けば簡単にできる。その際はパスポートが必須。
また、ローカル店の場合、CUCで払ってCUPがお釣りとして返ってくることもあるので、結局はCUPをたくさん手にすることになる。
3CUP札にはチェ=ゲバラが印刷されているので、それを目当てに両替する人もいる。
CUCとCUPを組み合わせて支払うことも可能。
ただしCUP支払いの方が少しお得な場合も
レストランなどの価格表示を見ると、CUCとCUPの両方が示されていることがある。
1CUC=25CUPなのだが、たまに、例えば1CUCの商品に23CUPと書かれていたりする。
ただし、両替したところで手数料を取られるので、結果はあまり変わらないだろう。
なお、観光客向けのところではUSドルやユーロでの支払いも可能だったりする。
50CUC紙幣は存在するが、ほとんど見かけることはない
50CUC紙幣は、ATMで下ろしたとき以外には一度も見かけなかった。
キューバではかなりの大金(最低レベルの月収の倍以上)であるため、観光客向けレストランで50CUCで支払ったときは、お釣りの準備にかなり時間がかかっていた。
物価編
物価はモノによって日本よりも高かったり安かったり
まあそりゃ基本的に当然だ。
ローカル系スーパーでは水2リットルくらいで1CUCで売っていたりする。(しかもあまり美味しくなかった)恐らくもっと安い水はあると思う。
ビールは1杯1CUCのお店が多い。(観光客向け)
名産のモヒートはもう少し高め。
写真のセットで40円くらい。(10CUP)
ローカルの店と観光客向けの店では価格差が凄まじい
観光客向けレストランなら3CUC(約330円)くらいはするピザだが、ローカルのお店では同じようなクオリティでも10CUP(約40円)くらいだったりする。8倍近い価格差。
4円で甘ったるいコーヒーが飲める
さっきのメニューの写真にも載っているが、ローカルのお店によくあるのが1CUPのコーヒー。
日本円にして4円くらい。
カップの大きさはこれくらい。砂糖多めで甘かった。
タバコはメチャクチャ安い
20本入りのPopularという銘柄で、0.6CUC。つまり70円に満たない。
0.4CUCのもある(40円ちょい)。
もちろんフィルターはちゃんとついている。ただ、耐久時間は短め。
日焼け止めとコンタクト洗浄液はやたら高いし見つからない
日差しが強いので、日焼け止めは必須品。
しかし、キューバにおいて、日焼け止めは高い。200mlで16-19CUCくらい。
また、ドラッグストアにはほぼ置いていない。
高級ホテルの売店にはよく置いているらしいが、割増し価格だ。
「私たちはそんなもの使わん」とおばさまたちがおっしゃっていたが、恐らくキューバの人はあまり使っていない。
コンタクトレンズの洗浄液もほぼ売っていないし、かなり高い(150mlで15CUCとか)。
ドラッグストアの商品は比較的高価なので、ケースに入っていたり、店によっては手荷物を店員に渡して大きな袋に入れられたり(万引防止のため)、入場制限(混雑しているわけでもないのに、店内にいる人数を制限され、列に並んで待たなければいけない。これも万引防止を目的として監視しやすくするため)がある場合も。
こういった生活必需品ではないアイテムは、発展途上国であるほど高い傾向にある。
キューバよりコロンビアの方が安いし、それよりもメキシコの方が安い。
余談だが、Droguería(ドラッグストア)と言うと、麻薬の方を連想する人が結構いるようだ。スペイン語の地域差。
普通にボッタクッてくるので、値段交渉を忘れない
現地のことをよく知らないと見られれば、かなりの額を吹っ掛けてくるのはどこの国もそうであろう。
複数人に尋ねる、一気に低い額を提示してみるなどの交渉術が重要になってくる。
ちなみに私は、当初1本45CUCと言ってきた葉巻を、2CUCまで下げたこともあった。20分の1未満。ひどい話だ。(モロッコもなかなかヤバかった)
交通編(タクシーなど)
街にはクラシックカーがいっぱい
アメリカとの国交断絶によって物資不足に陥ったキューバでは、半世紀以上前のアメ車、さらには旧ソ連の車が未だに現役で走り回っている。それらのほとんどはタクシーとして利用されている。
古いだけあって乗り心地は悪く、サスペンサーもオンボロなのでよく揺れるし、エアコンの効きは悪いし、排気ガスが凄い。
特に人気観光地の首都ハバナにはそういった車がウジャウジャしているが、田舎の方に行くと少なくなる。
レンタカーはあるが、クラシックカーは運転できない。
タクシーには2種類ある
1つは6人乗り(運転手込み)のクラシックカータイプ、もう1つは5人乗り(同)の黄色いタクシー。
5人旅だったので前者にしか乗らなかったが、一般的に前者の方が料金が高いという。
6人で旅をするとクラシックカーに全員乗り切れないので、経済的には5人がベスト。
タクシーに乗る際は値段確認と交渉を
キューバにおける長距離移動手段は、飛行機かバスかタクシー。
私たちはタクシーを使った。もちろん日本よりは安いが、決してバカにならない。コロンビアより俄然高い。キューバ人らしき人でタクシーに客として乗っている人は見かけなかった。
料金メーターはないので、乗る前に値段を提示されることになる。
どこでもそうだが、ボッタクリ価格を提示してくることもあるので、特に慣れないうちは複数のタクシー運転手に値段を尋ねるのが良いだろう。
そして、値段交渉も忘れずに。
例えば露店でアクセサリー等を買ったり葉巻を買ったりする際も同様だ。
バスは混雑度合いが半端ない
ローカルバスは、ローカル民と貧乏バックパッカーの主な移動手段。
家畜として輸送されている気分すら味わえるほどに混雑しているが、かなり安い。
CUCで払おうとする外国人は多分高めに取られるが、大した金額ではない。
一度乗ったらどこで降りても料金は均一。盗難に注意。
バスのviazulはオフィスでのみチケットの購入が可能
観光バスを提供する会社viazul。
別の都市に行く際などは使う人も多いだろう。
しかし、バスチケットは前日以前にオフィスで直接購入しなければならない。
職員に聞いたところ、電話予約もネット予約もできないとのこと。
なんと不便な、と言わざるを得ない。
ローカル民向けの安い便もあるらしいが、バスとはほぼ無縁だったので詳細不明。
(2018年6月現在)
ヒッチハイクは一瞬で成功するが、カネがかかる
1人でタクシーに乗ると、誰かと割り勘できないので高くついてしまう。
が、暑いし疲れたからショートカットしたい…そんなときは、ヒッチハイクが有効だ。
広い直線道路などで道脇で親指を立てる。
キューバではヒッチハイクでの短距離移動は三度実行したが、いずれも1分以内に車が停まってくれた。
目的地を伝えて、車に乗り込む。
降りるときは、少額でいいから渡す。
彼らはそれを求めて乗せてくれるのだ。
一応事前に額を決めておけば、トラブルを招かずに済むだろう。
1-2kmくらいなら25セント(0.25CUC)だけ渡しても問題なかった。
タクシーよりも遙かに安上がりなので、オススメである。
ヒト編
物乞いは少ない
コロンビアの首都ボゴタで生活していると、かなりの頻度で物乞いに遭う。
しかし、経済的・物資的に恵まれていないキューバではあるが、物乞いは少ない。
配給制度や無料の医療なども関係しているだろう。
物乞いに応じる必要はない(タクシー運転手談)
制度が変わってきている部分もあるとはいえ、キューバは社会主義国家であり、医療などの生活保護が充実している。
だから物乞いしてくる人の目的は酒やタバコなどであると、とあるタクシー運転手が語っていた。
しかし、配給制度は不充分であるとの意見しかなかったので、これが本当なのかは分からない。
美人は少ない印象
主観でしかないが、美女大国と言われるコロンビアでの美女慣れにより、一層ギャップを感じた。その次に向かったメキシコも美女が多かったから尚更だったかもしれない。
Costa Rica(コスタリカ)、Colombia(コロンビア)、Chile(チリ)、ラテンアメリカ三大美女大国、通称「3C」が、Cuba(キューバ)を含めた4Cでないのも納得。
ちなみに3割くらいは黒人という印象。
肌が黒めの女性の中には、鼻の下の産毛が濃くなって髭っぽくなっている人もたまにいる。
男性同士でもチークキスをしている
ラテンアメリカの国では、挨拶の際に頬と頬を触れ合わせて唇で「チュッ」と音を鳴らす、チークキスという行為がよく交わされる。
コロンビアでは、女性と男性か、女性同士で交わされる光景しか見たことがないのだが、キューバでは男性同士のチークキスを何度か目撃した。高齢者に多い印象。
道端に座っている人が多い
老若男女、特にオッサンたちがよく自分の家の前などの石段などに座って涼んだりお喋りしたりしている。日本でも昔はそういう光景が日常であったという。
暑いので、上半身裸の男性が多い。蚊に刺されまくっていそう。
話しかけてくる人がいっぱい
外国人と分かる見た目なら、ちょっと歩くだけで何人からも声を掛けられる。
また、旅行者の大半は北中南米とヨーロッパから来ており、地理的・言語的障壁の大きいアジア人はそう多くはない。
よってアジア人は比較的珍しいので、道端に座っている人たち含め、より一層話しかけられることになる。(総計10ヵ国由来の5人組で旅をしていたが、やはり一番話しかけられるのは私と韓国の子であった)
どんな人が話しかけてくるのかというと、場所にもよるが、タクシーや葉巻商人、レストランのキャッチといった商売人が6割、物乞いが1割弱、それ以外は単なるフレンドリーな人たちという印象。
だから、言葉ができなかろうが、ハナからスルーを決め込まずにコミュニケーションを取るのも一つだ。(もちろん油断はせずに)
人との垣根が異様に浅いキューバ人、初対面にも”Amigo!”と言いまくる。
メキシコでもその傾向は割とあるが、キューバの比ではない。
なお、家までの200mの道のりで3組(商売人含む)に絡まれ、いちいち応じていたら帰宅に2時間以上かかったこともあった。余談だが、道を速めに走ったときも、道端から声を掛けられまくった。
勝手にツアーを始めて、あとでチップちょうだいと言ってくる人も
街中でフレンドリーに話しかけてきて、街などを案内してくれた挙げ句、チップちょうだいと言ってくる人もいる。
私もハバナで一度、あえて乗っかったのだが、色々見たり知ったりすることができて楽しかったので、4CUC渡した。彼らにとっては大きな収入である。
ハナから遮断するのではなく、耳を傾けてみるのも一つだと思う。
スーパー店員の愛想は悪め
働くモチベーションの低そうな人が多い。一応社会主義だから、しゃーない。
スーパー店員は、コロンビアやメキシコに比べて、愛想が悪め。
観光客向けレストランなどはその限りではない。まあ、チップ割増の可能性もあるし。
搾取されている感を味わえるかも
世界のどこであっても、旅人の多い場所、つまり観光地には、観光者を対象とした様々な商売がひしめく。特にキューバは、通貨が分かれていることからも分かるように、それがかなり露骨だ。
そうなってくると、「景色や食事や文化の消費者として搾取されている」という感覚を味わわざるを得なくなり、馬鹿らしく思えてきたりする。特に首都ハバナでは。
私事だが、そういうわけで旅をしながら「キューバ人よりコロンビア人の方が好きだな」と思ったりもした。
しかしそもそも住民・留学生として接するのと、旅人として接するのとでは話が違う。
それに、普段コロンビアで接していた層は、裕福な同世代が中心。
しかし今回の旅だと利害の絡まない同世代と接する機会は少ない。
単純に比較することはできない。
やたら「チノ」と言ってくる
チノ(chino)とは主に中国人を指す。
コロンビアにも「チノ」や「コレアノ(coreano,韓国人)」と言ってくる人が多いが、キューバでは「ハポネス(japones,日本人)」と言ってくる人の割合が比較的多い。
とはいえほとんどは「チノ」である。
そうなるのは当然だ。
人類の5人に1人は中国人なのだから。
「アジア人っぽい=中国人」という図式が出来上がるのは自然なこと。
ジャッキーチェン!と言ってくる人もたまにいたので、そういうときは少林寺拳法の型を一瞬披露していた。(少林寺拳法は日本発祥だが)
なお、チノには中国人に留まらずアジア系の人というニュアンスも含まれるという話も聞く。
そんなときは「ソイハポネス」と言ってみよう
そうやって「チノ」などと声をかけてくる小学生みたいな人たちが年代を問わず多いわけだが、彼らのほとんどには何ら悪気はない。
そこで、「違う、日本人だ」と応えると、それが会話のキッカケとなってお喋りが始まったりする。
そんな調子で色んな人と喋って情報を仕入れるのも一興だろう。
スーパーなどでは”一時的な親子”が誕生する
スーパーなどで列に並んでいると、割り込んでくるおばちゃんなどがたまにいる。
割り込んでんじゃねーよと言うと、「前にいるのは私の息子」
しかし、明らかに肌の色が違う。
おいおいそれは嘘だろうなどと言っても、苦笑いで誤魔化してくる。
もちろん”子供”との会話はないし、スーパーから出て行くときもバラバラ。
というのが滞在中に2回あった。
割り込み自体は頻繁にある。
お店で楽器を演奏する人が多い
レストランで楽器演奏をする人たちは多く、たくさん出くわした。
歌い手も含め4人以上など複数名でやっている人たちも結構いて、キューバ音楽などを楽しむことができる。演奏後はチップを求めて席を廻ったりする。
環境編
小さな猫がやたら多い
なぜか、小柄な猫を道端でたくさん見かけた。犬も結構いる。
アメリカ人が増えている
近年、半世紀ほど断絶していたアメリカとの国交が回復したこともあり、アメリカ人観光客が増えている。アメリカ人は肥満体が多いので、集団だとアメリカ人であると分かりやすい。
トイレには紙を流せない
タイもコロンビアもメキシコもそうであるように、流せない国が大半ではあると思うが、キューバも同じく流せない国だ。便器横のゴミ箱に捨てることになる。
少し流すだけで詰まることもあるので注意。
日中は蒸し暑いが夜は多少は冷えることも
季節に依るが、常夏の世界なので、通気性の良い半袖半ズボンにサンダルというスタイルが楽だ。
しかし、夜など若干冷えることもあるので、軽めの上着を持っていくことを推奨する。
蒸し暑さ軽減のために、日本のコンビニやドラッグストアなどでよく売っている制汗シートの持参も併せてオススメしたい。汗をかく上に空気が汚いから、結構肌が汚れるので、有用性が高い。
日照時間は短め
キューバは赤道に近い。季節によるが、私がキューバにいた6月は、朝6時には既に明るく、夜も20時半くらいまでは明るかった。この写真は20時半過ぎくらいのハバナ。
蚊や蝿などがやたらに多い
季節にもよるが、蚊や蝿が飛び交っている。
ビュッフェ形式のお店の肉などにも、普通に蝿がたかっていた。
それら以外にも、チクっと痛みを伴う刺し方をしてくる小さい虫が沢山いる。
ともどもバンバン刺してくるので、虫除けスプレーや痒み止めの持参を強く推奨する。
なお、日焼け止めなどもそうだが、一定量以上の液体は機内持ち込みできないので、預け荷物に入れておくのを忘れずに。
また、格安航空券の場合、預け荷物のオプションに課金する必要があることもあるため、注意が必要。
持っていかなかった結果、足と腕で軽く50カ所は刺され痕ができた。
特にハバナは排気ガスで空気が汚い
クラシックカーのようなオンボロ車は排気ガスをたくさん排出するので、都市部は空気が汚い。
喉の弱い人はマスクの持参、目の弱い人は幅の広いサングラスの持参を推奨する。
ちなみに、マスクをしている人は見かけた記憶がない。
日差しがかなり強いことを考慮すれば尚更、サングラスは有用である。
シエンフエゴスなどの田舎では、観光用以外でも馬が路上を走っている
ハバナでも多少は見かけることができるが、地方都市や田舎では特に、観光客向けタクシーとしてだけでなく、物資の運搬のために馬がよく用いられている。だから、路上に馬糞が落ちているのを見かけることができる。
日本でも、馬は軽車両扱いなので道を走っていい。以前クリスマス間近の横浜でサンタの仮装をした人が馬で走っていた。トナカイじゃなく、馬で。
Wi-Fi編
Wi-Fiは有料で、場所が限られている
近年になってネットが市民に解禁されたキューバはネットインフラが非常に遅れており、また政府による検閲もあるなど、とにかくネットに不自由な国である。
しかし、ETECSAという会社のWi-Fiを、ホテルや大きめの公園、一部のレストランなどで使うことができる。他にもあるかもしれないが、少なくとも一番メジャーなのがこれ。
そういった公園では、昼夜を問わず大勢の人が立ったり座ったりしながら携帯を眺めており、シュールである。
Wi-Fiカードの購入
Wi-Fiを利用するには、プリペイドカードを購入する必要がある。
裏のメッキ?で隠された部分を爪などで削り、パスワードを入手、入力画面に打ち込む。
1時間のカード、5時間のカードなどが存在する。
また、Wi-Fiが使えるレストランではその場でカードを購入することができる。
購入できる場所は大きく分けて三つ。
会社の店舗、ホテルのフロントやWi-Fi付きの一部のレストラン、道端の商売人。
価格は、1時間の場合だと店舗で1CUC、ホテルなどでは2CUC、道端などの商売人から買う場合は2-3CUCが相場。
有効期限は30日間で、こまめに使い分けることもできる。
ちなみに通信速度は遅い。
パソコンで使いながらテザリングで携帯で使用しても、消費時間は同じらしい。
基本的に一度接続を切ると、パスワードを再入力しなければならないので、カードは持ち歩いておいた方がいい。
葉巻編
キューバの主要産業「葉巻」の値段はピンキリ
キューバと言えば葉巻。
砂糖やラム酒とともに主要産業として知られる。
キューバの英雄チェ=ゲバラも虫除けの意味も含めて愛用していたという。
皆が煙草を吸う中でぶっとい葉巻を吸うときの優越感的なものはなかなか良い。
そんな葉巻は、主に観光客向け産業だ。
空港や専門店で買うと、1本で40CUCも50CUCもするようなものもある。
一方で、道端でウジャウジャしている葉巻商人が売ってくるものは、交渉すれば1本1CUCや2CUCでも、あるいはもっと安く購入できる。
ただしそのようなものは粗悪品が多いし、最初は確実にボッタくってくる。
とはいえ、葉巻通でもない限り、高級品と粗悪品の違いは大して分からないだろうから、まずはそういう葉巻商人らと交渉して買うことを勧める。
キューバ人は葉巻をなかなか買えない
何故なら、葉巻は結構高い。
先にも書いたように、キューバ人の一般的な月収は30CUCくらい。(複数のキューバ人談)
1CUCや2CUCでもなかなか大きな出費だ。
あるキューバ人は「葉巻は俺たちには高すぎる」と言っていた。
葉巻は50本以上を持ち出す場合は税関申告が必要
キューバの主要産業である葉巻。
出国の際に50本以上携帯する場合は税関で申告が必要で、関税を払う必要がある。
スポーツ編
野球が人気で、”オオタニ”の知名度は既に高い
アメリカの近所の国であることもあり、革命以前から野球熱が強かったキューバ。
同じく野球が人気な日本ではソフトボールの授業はあるが野球の授業はない。
一方でキューバでは小学校から大学まで野球は必須科目。
もちろんプロ野球リーグも存在し、キューバ出身の有名選手では、メジャーで活躍する人類最高球速(169km/hくらい)のチャップマンや、日本プロ野球のデスパイネなどが挙げられる。
だから、イチローやマツザカ、マエダにマエダはよく知られているし、2018年メジャー入りしたオオタニも既に知られていた。(2018年6月時点)
キューバ野球の抱える問題
キューバからは、待遇の悪さなどに不満を抱いて他国に亡命するプロ野球選手が多い。
プロ野球選手と言えば高給取りのイメージがあるが、キューバでは平均よりちょっと高いくらい。
スポーツ選手は実績に応じて車や家などを贈呈されることもあるというが、アメリカなどでプレーすれば億単位の報酬も珍しくないのだから、相対的にかなり低収入。
(2016年初旬の段階で)「この2年間で200人以上の野球選手がキューバを離れた」と話す野球関係者もいる。
なお、亡命に失敗した者には処罰が下されるため、命がけで脱出することになる。
2000年代前半くらいまでは、2004年のアテネ五輪で優勝するなど活躍していたが、海外遠征の際などに亡命する選手が後を絶たず、弱体化してきている。
女子バレーやボクシングが強い
キューバは野球のほか、女子バレーやボクシングの強豪として知られてきた。
キューバにはプロ制度がないため、全てのスポーツ選手はアマチュア扱いであり、実力はあっても参加できない大会がたくさんある。
女子バレーは攻撃的なスタイルを持ち味とし、バルセロナ・アトランタ・シドニー各五輪の3大会連続で金メダルを獲得した。
ボクシングはヘビー級が特に強く、女子バレーと同じくバルセロナ・アトランタ・シドニー各五輪の3大会連続で金メダルを獲得したフェリックス=サボン(写真)などが有名。
フェリックスは亡命してプロになれば世界チャンピオンになれると言われるほどの実力だったが、祖国愛とカネにまみれたプロの世界への嫌気から、アマチュアとしてのキャリアに拘ったという。
そのような選手もいるが、野球同様、スポーツ選手には他国に亡命する者も多い。
キューバ国外で見かけるキューバ人は、かつて海外に亡命したキューバ人やその子孫であるケースがもっぱらだ。
その他キューバ事情あれこれ
チェ=ゲバラの存在感がかなり強い
チェ=ゲバラとは、アルゼンチン出身のキューバ革命の立役者。
半世紀以上前の1967年にボリビアで捕らえら39歳で一生を終えたわけだが、ハンサムなこともあり、今でもキューバの英雄として高い人気を誇る。
他国出身の人間がこれだけ偶像視されるのは世界的に見てもかなり珍しいのではないだろうか。
日本などでも、彼の肖像がプリントされたTシャツが売られていたりするが、キューバではその肖像などが街の随所に見られる。
キューバ人たちは無償の学校教育で彼を大いに称えた歴史を教え込まれていそうではあるが、意外と「もうチェ=ゲバラなんてウンザリだ」と考えるキューバ人が多かったりして。
なお、ボリビアで殺害されたあと、遺体は長年行方不明だったというが、私が中学のときに韓国で買ったゲバラTシャツも、確か大学1年のときに泊まりに来た友人に貸して以来、未だ行方不明だ。
一方、フィデル=カストロは…
半世紀に渡りキューバの大統領を務め、暗殺未遂数でギネス記録を取るほどアメリカなどから憎まれた独裁者、2016年に亡くなったフィデル=カストロもまた、キューバ革命の英雄であるわけだが、彼の肖像はほとんど見られない。
それは、彼が自らを偶像視されることを嫌い、公共の場における銅像などの設置を法律で禁じるなどしたからだという。
30歳くらいで母国の革命を成功させ、トップに君臨していた彼だが、友チェ=ゲバラやシエンフエゴスなどといったかつての仲間、そして彼自身すら、その後伝説的人物となったのだから、かなりドラマティックな心情だったのではないだろうか。
大道芸人はほぼいない
那覇で言えば国際通り、バンコクで言えばカオサンロードのような存在である、観光客溢れるハバナのオビスポ通りには、大道芸人がいなかった。そして、それ以外の場所でも。
観光客中心にウケの良い路上パフォーマンスや大道芸を何故やらないんだろうと不思議に思い、キューバ人らに「禁止されているのか」と尋ねたところ、そういうわけではないらしく、いるっちゃいるとのこと。だが、少ないのは間違いない。
毛色は違うが、一緒に写真を撮ろうと言ってくるお婆さんなどもいる。もちろんお金目当てだろう。
キューバ人の収入
キューバ人の月収はどれくらいあるのだろうか?
何人かのキューバ人に尋ねたところ、最低レベルの月収は20CUCほど。つまり2000円くらい。
インターネットでも調べてみたところ、
El salario medio mensual en Cuba el año pasado fue de 740 pesos cubanos (CUP), equivalentes a 29.6 dólares, aunque la cifra aumenta en sectores como el azucarero, el mejor pagado con 1.246 CUP (49.8 dólares), y cae en los de administración pública, defensa y seguridad social, con 510 CUP (20.4 dólares).
Salario medio en Cuba es “inventado”, no alcanza “ni para empezar”
つまり、2016年の平均的な月収は30ドルくらいということだ。
たとえば砂糖産業従事者は50ドルと高い。
一方で、行政や社会保障に携わる人は20ドルほどと低い。
日本なら学生の1日のバイト代くらいか。
また、日本では高収入で知られる医者だが、キューバではあまり他の人と変わらない。
1日1ドル未満での生活。
もちろん、外食なんてできない。
下に述べる食糧配給制度も存在するとはいえ、本当にこんなのでやっていけるのか?と不思議に思わざるを得ない。
革命後に海外に亡命した家族から送金を受けている人たちもいるとはよく聞く。
キューバの教育や医療は無償で受けられる
全医療費の90%は国費で支払われている。もちろん、外国人は別。
人口あたりの医者の数は世界トップレベル。
医療のレベルはかなり高く、パーキンソン病のモハメド=アリやコカイン中毒のマラドーナなどが治療のためにやってきたこともある。
歴史的背景から、識字率はラテンアメリカでも随一で、高校まで無償化されている。
食糧配給制度が存在する
基本的に1家庭に1つ、食糧配給手帳が配布されている。
12人までは1手帳、13人から24人までは2手帳。(葉巻商人のオッサン談)
街の色んなところに古ぼけた配給所(bodega)があり、食糧が低価格で販売されている。
ひと月に米何グラム、卵何個、鶏肉何グラムなどと決まっている。
しかし、4-5人のキューバ人に尋ねたところ、全員口を揃えて「全然充分じゃない」と言っていた。キューバは貧しい人が大多数だ。なお、この制度は段階的に廃止されてきているという。
タクシー運転手は成功者
日本ではタクシー運転手は憧れの職業と見なされることはあまりないだろうが、キューバにおいては上流職である。
キューバにおいて稼ぎが良いのは外国人観光客(=カネがある人たち)を相手とする観光産業であり、タクシー運転手や葉巻産業の上の人たちはガッポリ儲けることができる。あとは民宿している人なんかも。(税金を納める必要はあるが)
近年は色々解禁されてきているので、そういう人たちが台頭してきている。
そして、そうやって働くにはコネが要るらしく、できる人は限られている。(街中のオッサンたち談)
性風俗も観光客向け産業
売春は違法だが、実際にはやっている女性が結構いる。
もちろん隠れてやっているわけであり、税金を払うことにならないので、利益率は100%に近い。
また、マッサージしてあげると声をかけてくる女性もいる。
値段を尋ねたら1時間30CUCと言われた。キューバ水準ではかなりのボッタクリ価格。
ほとんどのキューバ人は、その一生をキューバで終える
キューバ国民は、海外にいる家族からの招待状、留学や海外遠征、結婚など、限られた状況でなければ海外に出ることは許可されていない。
それ以前に、海外に行けるほどのお金のあるキューバ人はごくごく少数だ。
21世紀だというのに、なんて閉鎖的な国なのだろう。
外国に行ったことがあるという人とは、ほとんど出逢うことはなかった。
もしそうした規則がなかったとしても、月収30CUC程度じゃあ、そもそも経済的に難しい。
だから彼らの多くはこの小さな島で生まれ、この島しか知らずに、一生を終えていく。
命がけで亡命する人たちの気持ちが分かる。
スカイプ国際電話
とある筋の情報によると、スカイプ国際電話でキューバの固定電話にかけると馬鹿高くなるらしい。詳細は不明。
2018.06
コメント