留学雑記①:コロンビアへの道程

留学

~羽田空港から経由地のパリ到着前、機内にて~

寝心地は最悪。乾燥も酷い。

機内食のパン喉を通りそうにない。また腰を痛めそうだ。

ただ、つい先日極寒の富士樹海野宿を経験したことで、ハードな環境への耐性が上がった気もする。

日本は今午前11時5分で、昨晩バスターミナルで手を振って見送ってくれた彼らは今頃仕事なり遊びなりに精を出しているのだろうけれど、パリに向かう飛行機の窓の外は真っ暗で、ただ主翼の先端に煌々と灯る一番星のような光が乱視のせいで一層大きく見えるだけだ。

あと1時間半ほどでパリに着くらしい。

10年前に10日間ほどの旅行に来たことのあるフランスだが、今回は8時間だけ滞在することになる。

今のところ外に出る気力はない。

年末年始のカオスや出発前の混乱を、振り返って内省しきらなければ、新たな刺激を享受する心の準備ができないように感じる。

~パリ到着後~

目的地に辿り着くまで時間がかかるのは時に苦痛だが、その間に心の準備ができる。

瞬間移動能力と大空を自由に飛翔する能力のどちらかを選べと問われたら、私は後者を選ぶ。瞬間移動能力は日常生活における移動にこそ欲すれど、非日常においては地道な移動はその非日常さを引き立てる材料になりうる。

ネガティブで感傷的な気持ちが徐々に薄れ、新たな世界へと心が開きつつあることを感じながら、私はパリの地下鉄をゆく。

朝8時でも、パリは暗い。

スーパーで買った安いフランスパンをかじりながら、エッフェル塔に向かう。

日本ほどではないとはいえ、コロンビアと違って犯罪被害に遭う可能性はまだ低いので安心できる。

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学校や会社は何時から始まるのだろうか。

暗いうちから活動すれば、時間を有意義に使っている感が出て自己肯定感が高まりそうだ。

次第に空が明らんでくる。

日本からやってきた私は今、バンコクで貰ったブレスレットと知り合いがインドのどこかで買ってきたミサンガをつけながら、メイドインチャイナのジャケットに身を包み、ボゴタ行きのチケットを鞄に、パリのシャンゼリゼ通りに座って凱旋門を眺めている。なんとグローバル。

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地下鉄で迷いながらも、空港行きの電車に乗り込む。

向かいの席に座っていた男性と少し話す。ブラジルから帰ってくる友人を迎えにいくところだという。

~そして、コロンビアへ~

飛行機は1時間近く遅延していた。

ターミナルで、80くらいのお爺さんとかなりの肥満男性が一席空けて座って何やら話している。

どんな反応をされるかな、と面白がりながら、間の席に座った。

早速お爺さんが話しかけてきた。

彼らは二人ともアメリカ出身。

お爺さんは77歳で、平和部隊の隊員としてブルガリアに住んでおり、これからコロンビアにバードウォッチングに行くのだという。日本の鶴を見てみたいと言っていた。

スペイン語でトラックはcamionと言うが、ブルガリア語でも同じであるという雑学を授かった。語源が同じだと学習も楽でいい。ちなみに私は18歳くらいに見られた。

機内に乗り込む。肥満巨体アメリカ人と席が近い。彼はあまりに横にデカすぎるため、乗務員の計らいで彼の隣の席の人は別の席に移ったようだった。

機内食のワインを飲んだらすぐに酔いが回って、眠くなってきた。コロンビアまでは大体寝ていた気がする。

そうこうしているうちにコロンビアに到着する。

例の肥満の人は、身の程を弁えて皆が降りるのを大人しく待っている。挨拶をして、通路を真っ直ぐ歩いて、機外に躍り出た。

留学が始まった。

2018.01

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