高校時代に編み出した画期的な遅刻回避・隠蔽術3選

実用

遅刻エピソード

私は極度の遅刻魔だった。

初めからそうだったわけではない。
中学3年の年明けまでは普通に間に合っていた。

事態が変わったのは、中学時代が終わる頃。
2月初旬、第一志望の私立高校に合格した私は気が抜けたのか、よく遅刻するようになった。
高校に入って持ち直し、1年前期は遅刻をゼロに抑えるも、後期からは怒濤の遅刻ライフが幕を開ける。

高校3年次に至っては、予鈴を聞いた回数が10回もなかった。(まあ基本土曜も学校があったとはいえ40回くらいサボって欠席したし卒業が1月だったから母数が少ないが)

予鈴は本鈴の10分前に鳴る。
つまり高校3年生の私は登校の9割以上を授業開始時刻の10分前以降に実行していたということになる。

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登校に時間がかかるワケではなかった。
むしろ、家から学校までの距離は私の学年の中では十本の指に入る近さだっただろう。

なのになぜ、いつもギリギリだったのか。
そんな問いを実に多くの方々から投げかけられた。

先を読んで行動できなかった。これに尽きる。

学校が家が近いので油断していたなど、言い訳にならない。
単に、学習能力のない馬鹿だった。 

当然、遅刻なんて出来ればしたくない。

登校中は心に余裕がないし、激チャ+走ることになるから無駄に体力を消耗する。
皆からは要らぬ注目を浴びてしまうし、教師には注意される。

私の高校は特に遅刻に厳しい学校だった。

遅刻をすれば何が待っているのかというと、

1. 職員室に赴く
2. 任意の教員に遅刻した旨を伝えて「遅刻届」なるペラ紙を受け取る
3. 遅刻届に、学年や氏名、登校時刻、遅刻した理由などを書く
4. 教室に行き、授業をしている教員に遅刻届を見せる
5. 授業終了後、担任に押印してもらう
6. 学年主任に押印してもらう
7. 生活指導室に行き、生活指導部主任に押印してもらう
8. 担任に提出

非常に面倒であった。

3つの押印のために何度も職員室や生活指導部に行く必要があるし、特定の教員がいなければ出直さなければいけないのだから、その労力は馬鹿にならない。

加えて、行く先々で各教員から注意を受ける羽目になる。
私のような遅刻の常連に対する風当たりはかなりキツいものになる。

累積遅刻回数が多く、またそれ以外に様々な問題行動を起こしていたにも関わらず生徒の模範という位置づけである生徒会役員に任命されていた(立候補制ではなく教員たちが決める)私は、遅刻を許されない立場であった。

あまりに面倒である上にそういった事情もあったため、学校に向かう途中で遅刻が確定すると携帯を取り出して「体調不良により欠席します」と電話して家に帰ったりどこかに遊びにいったりするほどだった。(これも広義の遅刻回避術に該当する)

しかし、そう簡単に諦めていたわけではない。

上に述べたような面倒な状況が、私に遅刻を回避・隠蔽するための様々な手法を編み出させた。
そしてそれらを駆使し、私は数多の遅刻を回避・隠蔽してきた。

ギリギリでの登校には変わりなかったため、他の生徒や教員は私が遅刻しかしていないと思っていたかもしれないが、実際はそうでもなかったということは意外と知られていない。

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前置きが長くなってしまったが、今回は当時の私の遅刻回避・隠蔽術を紹介し、世の遅刻魔たちの一助とならんことを祈りたい。

なお、私の編み出した遅刻回避・隠蔽術は15種類はある。
何度も何度も使い古したものもあれば、一度しか使わなかったものもある。

高校時代のテクニックなので、これから登場する具体的なシーンは中学や高校という設定だが、遅刻回避・隠蔽の本質は結局のところ同じなので、大学生や社会人、その他様々な属性の方にとって役に立ちうると認識している。

そういえば、遅刻を叱責する教師はたくさんいたけれど、なぜ遅刻してしまうのか、そこに向き合ってくる教師は、一人もいなかったような気がするなぁ。

用語の定義

遅刻回避・・・遅刻を回避すること。ちゃんと定刻に間に合う。

遅刻隠蔽・・・遅刻を隠蔽すること。遅刻をなかったことにする。

最初は、15種類はあるそれらを全て紹介しようと思ってこの記事を書き始めた。

しかし、その多くは、特定の曜日の1限担当教員の視力の悪さを利用した手法、短縮登校ルート開拓(崖登りなど)、坂道ヒッチハイクなどといったニッチな手法であり、活用するには難しいものばかりで、汎用性の高いものは3つしかなかった。よって本記事ではその3つのみを紹介する。

なお、これを読んでいる遅刻魔以外の方は今、早起きして早めに家を出ればいいじゃんと思っているかもしれない。
確かにそれが圧倒的に正論であることに疑いの余地はなさすぎる。
だが、私のようにそれがなかなか出来ない馬鹿もいる。

ちなみに私の家庭では、親が起こしてくれることはあまりなかった。
遅刻は自己責任ということだ。

遅刻回避・隠蔽術その1「カバン・イリュージョン」

「まずい…これは遅刻だ」

いくら模範的な人物であっても、そのような局面に身を置いた経験のない人はそうそういないであろう。

もちろん、遅刻することによるデメリット(叱責・悪目立ち・内申点の低下など)はなんとか避けたい。

そんなとき、どうするか。

学校の場合、まずは教室にやってきて出席を取る教師の目を欺く必要がある。

どうやって?簡単な話である。

教室に「一度は来たかのように」見せかければいい。

今はスマホで友達と自由に連絡が取れる時代。

クラスメートにLINEを送る。

「俺の机の上に君のカバンを置いといてよ」と。

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その友人の協力の結果あなたの机の上に置かれたカバンを見た教員は「ああ、アイツは今は教室にはいないけど、一度来てからトイレにでも行ったんだな」などと勝手に解釈してくれるだろう。

そして、あなたは自分の荷物を教室の外に隠してから、手ぶらで教室に入る。

教師に何か言われたら、「トイレの方から来たところです」などという、詐欺師がよく使うとされる曖昧だが嘘ではない無難な台詞でも吐いておけば良かろう。

そして、授業が終われば速やかにカバンを回収しにいけばいい。

なお、わざわざ友達に机の上などにカバンを置いてもらわなくても、手ぶらで教室に入ればなんとかなりやすい。

一見イージーな方法だが、注意すべき点がいくつかある。

まず、これは大幅な遅刻の場合は使えない。

どんだけトイレに籠もってるんだ、ということになる。
ただし、お腹の弱いことで通っている人なら、多少の無理は利くかもしれない。

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注意すべきなのは、これを繰り返せば事情を知らないクラスメイトからトイレのイメージを抱かれてしまい、周りの民度が低かった日には「ウ〇コマン」などという不名誉な称号が与えられかねないということだ。

バレないのであれば「しんどかったので保健室行ってました」などと応用を利かせることもできるだろうが、やはりなるべく嘘をつくことは避けたい。言葉で嘘をつかなくてもバレないようにするーそれこそが遅刻隠蔽魂だ。

とはいえ、この技はそう何度も使えない。月に4-5回が限度だろう。流石に不自然さが目についてしまう。

さらには、教室の外にある自分のカバンが誰かに盗られたりチェックされたりしないように上手く隠す必要がある。もちろん、念のために貴重品は身につけておいた方がいいだろう。

また、手ぶらで教室に入る必要があるので、カバンに入っている自分の教材などを持ち込むのが難しいというのもある(1限だけの辛抱だが)。普段から置き勉しているのならともかく、そうでない生徒にとっては問題だ。

この問題を解決するための、「数分の遅刻なら」使える手がある。

カバンから必要なノートや教材だけ取り出し、それらを抱えて教室に入る。
担当教員が何か言ってきたらこう言おう。
「教科書を隣のクラスの友達に貸してたので、返してもらいに行ってました」と。

遅刻回避・隠蔽術その2「印鑑偽装」

この手法は「部分的隠蔽術」であることを最初に断っておかねばなるまい。

どういうことなのか、以下に説明する。

なお、私の場合は幸いにも上手くいきまくったとはいえ、これは犯罪的手法であり、初犯者にとってのリスクは大きい。

さて、先に述べたように、私の高校では「遅刻届」提出の過程で、3種の押印を3人の教員から貰わなければならなかった。

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怒る教師のイメージ

担任「また遅刻か~しっかりせえよ~」
私「はい、すみません、以後気をつけます!(爽やかに)」

学年主任「また遅刻か~しっかりせえよ~」
私「はい、すみません、以後気をつけます!(爽やかに)」

ここまではいい。問題は次だった。

生活指導室。
それは、体育教師たちのひしめく汗臭い巣窟。

生活指導部主任「また遅刻か!いい加減にせい」 
体育教師A「何回遅刻するんや」
体育教師B「朝早く出発したらええ話やろ」

私「ふっ、ふぇぇ…」

浴びせられる集中砲火。

毎朝の登校時間、複数の体育教師たちが生徒たちに挨拶をするのが通例であった。
ゆえに彼らは、私がいつもギリギリに登校していることを知っていた。

だから、私は実態以上に遅刻魔として見られていた。(ギリギリ教室に滑り込めたとしても彼らには知る由もない)
当然ながら、風当たりは強くなる。

そんなあるとき。高校2年の終わり頃だっただろう。

私はいつものごとく遅刻をした。
スタンプラリーが始まる。

担任、そして学年主任。
ルーティンは順調に進んでいく。

そして最後の関門、教室から結構離れた場所にある体育指導室に赴き、恐る恐るドアをノックする。
中に入るように促され、部屋に足を踏み入れる。

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珍しいことに、そのときは6名ほどいる全体育教師が勢揃いしていた。

彼らはガチのスポーツマンばかり。甲子園4強の元キャプテン、水泳の元高校県記録保持者もいれば、反社風のコワモテ男に身長170cm強の女性教員など、全体的に厳ついメンツである。

言うまでもなく、いつも以上に激しい集中砲火が浴びせられる。

問題はそのあとだった。

「二度とここにハンコを押してもらいに来ないと誓え」

体育教師の誰かが言った。
もちろんこの状況、言うまでもなく誓うしかない。

「二度と遅刻してここに来ることがないようにします」

まあ大丈夫だろうーーー軽い気持ちだった。

そして翌日。

私は全力ダッシュ虚しく、ギリギリ遅刻した。

甘かった。 

オワタ \(^o^)/

全細胞がそのような感想を抱いたと言っても過言ではない。

誓わされた矢先の遅刻。
約束された恐怖。

震えながら、担任、学年主任と、ルーティーンをこなしていく。
もちろん、二日連続なので彼らの風当たりもいつもより強い。

そして最後のダンジョン、体育教師の魔窟、ラスボス・生活指導部へ・・・。

・・・

・・・いや、行けない。

行けるはずがない。

特に、生活指導室には一部の生徒からバルトと呼ばれる天敵教師がいたこともあり、つけ込む隙を与えたくなかった。

余談だが、彼は高校最寄り駅で電車を待っている間にホームに座る生徒をよく注意していたが、なぜか女子生徒には注意しないという男女差別至上主義のけしからん人物であった。(田舎なので電車は15~20分に一本程度)

考えた私が出した解決策は、

「生活指導部主任のハンコを自前で用意する」

であった。

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もちろんリスクは想定できた。

何らかの場面で

体育教師「えっ?生活指導部では彼の紙にハンコ押してませんよ」
担任「何ですって?じゃあ誰がこのハンコを…おいお前!ちょっと来い!」

そうなる可能性はゼロではない。

しかし、このスタンプラリーの目的は、「面倒な作業」と「複数教師による叱責」という手段を以て遅刻のデメリットを増幅させ、生徒の気を引き締めさせることにあるはずだ。

ならば、あとでわざわざそれぞれの把握する遅刻回数の照合などするわけがない。

リスクは限りなく低いーーー私はほくそ笑んだ。

生活指導部主任の名はK山。
K山ハンコを手に入れて、自分で押して担任に提出すればいい。

しかし、どうやって手に入れる?
高校の近所に住んでおり、かつ同じ高校を卒業したばかりの親戚に、メールを送った。

「K山ハンコ買ってきてくれないか」

私が何か良くないことをしようとしていることに気付いた彼女には「協力できない」と拒否された。

続けて近くに住んでいてフリーターをしている中学時代の同級生にも同様に連絡した。
しかし、返信がなかった。

そのとき、既に卒業した高校の先輩たちがその日に母校訪問にしにくるという情報を手にした私は「乗るしかないこのビッグウェーブに」と判断。先輩数名に「頼み事があります」とだけ連絡した。
しかし、そのタイミングでは返信が得られなかった。

なるほど、周りにはもはや頼れない。
こうなったら、自分で買いにいくしかない。

2限目、現代文の授業の終盤、私は決断した。

ハンコが確実に置いている店は、高校から5km以上はある。
2限後の昼休みは30分間のみ。

行くなら今か。

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「先生、トイレの方、行ってきます」

「先生、トイレの方、行ってきます」

トイレ方面ということで、あくまで方向を示しているだけという言い訳が成り立つという、一応嘘ではないその言葉を発し、私は教室を飛び出した。

相当お腹が危機的状況なのかもしれないと思われようが、気にしている余裕はない。

廊下を走り、坂を駆け下り、自転車にまたがり、ひたすら漕ぎ散らかす。

百均に到着し、「K山ハンコ」とグレープ風味のミンティアをレジに持っていったことを覚えている。

そしてまたチャリをガチ漕ぎしまくり、3限の授業に少し遅れる形となったが無事教室に辿り着いた。

一息ついてから、新品のK山ハンコを、遅刻届に自ら押し込む。
そして、その後しれっと担任に提出した。

目論み通り、数日経っても何も起こる気配はなかった。

それからというもの、上手く遅刻回避・隠蔽ができなかったときには、遅刻のカウントは増えてしまうものの、私はこの「K山ハンコ」によって部分的隠蔽を繰り返し、生活指導部による叱責を免れ続けた。
お陰でそれ以降、一度も生活指導室には行かずに済んだ。

そのことを聞きつけた他のクラスの奴らが、遅刻するたびにハンコを借りにくるようにもなった。
ハンコの売っていないような難解な苗字の人でなくて良かったと思う。

遅刻回避・隠蔽術その3「スライディング登校」

目が覚める。

8時25分。

授業開始は8時40分。

到着に最低10分はかかる。
つまりあと5分で出発しなければ遅刻確定。

大抵の人間はここで諦める。

5分で出発?

顔を洗って歯を磨いて制服に着替えて荷物の準備をして…。
考えただけでもやる気が失せる。

しかし、例えば自分のグループが最初にプレゼンをするなど、どうしても遅刻回避したい局面は誰にだってある。

さあどうするか。

原点に立ち返ろう。

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「遅刻回避ってつまり、時間内に教室にカラダぶち込めばいいってことですよね?」

遅刻回避術の王道にして、一番強烈でシンプルな手法は、荷物の一切を捨て置き、ただ目的地に身体のみを滑り込ませることである。

洗顔も歯磨きもメイクも、残念ながらスキップだ。

起きた瞬間、まずスーツや制服に着替える。(もちろんその暇があればの話だが)

念のため、スーツや制服を着たまま寝るという手法もあるが、寝心地が悪くなり汗臭くなるというデメリットがある。

そして次は…出発の時間だ。

荷物のない軽い身体で走る、あるいはひたすら自転車を漕ぎまくる。

荷物があればカラダは当然重くなり、移動に時間がかかる。小学生でも分かることだ。

そして、盗塁するランナーのごとく、オフィスや教室に滑り込む。

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このように

シンプルにして究極ーーーこれぞ遅刻回避の王道。

私は高校時代、流石に制服以外で登校したことはなかった。

しかし、起きてすぐに制服に着替えて信号など気にせずひたすらチャリを漕ぎまくり(まあ信号は一つくらいしかなかった気もするが)

自転車置き場に荷物をガッツリ放置し、走るのに適さない制定の革靴を一旦捨て去り、靴下を脱いでポケットに入れて校舎までの長い坂道を全力で走り、

柵を何度か飛び越えるなどして定められた登校コースを無視してショートカットし、生徒の入場が禁じられている、より教室に近い職員玄関に飛び込み、

長い廊下を腕を振って全力で駆け抜け、チャイムが鳴り終わる瞬間に、教室に身体を滑り込ませたことがある。

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甲子園レベルのスポーツ推薦勢を除けば50m走と1500m走で学年トップか次点級の俊足と持久力があったからこそ成し得た業でもあった。

なお、その日は遅刻扱いにはならなかったが、教室はどよめき、1限目の教員(その日は担任だった)には事情を聞かれ、自転車置き場に放置した荷物をすぐさま取りに戻る羽目になった。

自転車置き場から教室までは普通に歩けば10分以上かかるので、結局この日の1限の授業は半分くらいしか出ることができなかった。

また、1年生のときには遅刻回避のためにあまりに全力で走りすぎて酸欠になり、保健室に連れていかれて酸素吸入マスクをつけられたのちに早退して病院に行ったこともあった。
その日はバレンタインデーだった。先輩から貰えるはずだったチョコは貰えなかった。

大学に入ってからは、1年の秋の授業でプレゼンの日に寝坊して、寝巻のまま大教室に駆け込んだこともあった。

この3つの手法が役立つ瞬間が皆様に訪れるのかは分からない。

しかし、「ヤベェやらかした…遅刻したら終わるゥ…」という状況に陥ったときは、これらの手法を思い出してみてほしい。

もしかしたら、その状況を打開することが、できたりするかもしれない。

2016.02?

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