【心理学】横浜中華街で手相占いをハシゴしてみた初春のある日

犯罪/胡散臭

占い体験談

2017年3月、東京に出たついでに何となく思い立って2年ぶりに横浜中華街に行ってきた。

横浜中華街と言えば、大量の手相占い店が有名で、至るところに見受けられる。
手相占いは、以前からやってみたいと思っていた。

早速中国人っぽい女性に声を掛けられたので応じ、席に案内される。

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15分で2000円というふざけた価格だが、モノは試しと、躊躇なく選択。
私の担当は玄なんとかという名で占い師をしている胡散臭そうなオッサン。

占い師というものは得てして何か含蓄のありそうな様相をしている。
相手を信じ込ませるためのテクニックだろう。ハロー効果的なやつ。

サングラスをしている人間は、得体の知れなさ、「コイツ、なんかある」的な印象を周囲に与えがちだが、それと同じだ。

なお、ハロー効果とは、

ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと。 光背効果、後光効果とも呼ぶ。

Wikipedia ハロー効果

例えば、名もなき学生と有名な芸能人なら、たとえ同じことを言っていても、後者の発言の方が権威を以て迎えられる。そういうやつ。

最初に、何を占ってほしいかを尋ねられたので、私もその気になって、当時1年後に行くことを検討していた中南米への留学がどんな風になるか、当時付き合っていた人との関係がどんな風になるか、などを知りたいと述べた。まあ、本当に分かってしまったら人生つまらないのだけれど。

私と彼女の生年月日を尋ねられたので教えた。
すると、何やら辞書的なものを取り出し、紙に漢字を記入していく。

何だかそれっぽくて笑えてくる。
占いにおいてうまい雰囲気を出すのは非常に大切だ。

まずは私の性格分析的なものからスタート。
コールドリーディングは最初の質問から始まっていた。

なお、コールドリーディングとは、

外観を観察したり何気ない会話を交わしたりするだけで相手のことを言い当て、相手に「わたしはあなたよりもあなたのことをよく知っている」と信じさせる話術である。

Wikipedia – コールドリーディング

彼は「留学」という言葉に反応を示してきた。

彼の持つ留学というものに関するイメージを動員した結果、勉強熱心であるという人物像が勝手に作られてしまったようで、「あなたは非常に考える方だ」だとか「非常に勉強を頑張っていますね」といった類の言葉を何度もかけられた。少なくとも当時は勉学においては怠慢な学生だったのだが。

何の勉強をされているんですかと尋ねられて「国際関係学や文化人類学」と答えるとキョトンとしたような様子で一瞬間が空いたのち「良いと思います!」と言われてすぐに話題が変わった。それがなんたるか分かっていない様子があからさまであった。

言うまでもなく、彼は誰にでも当てはまるようなことばかり言うことでバーナム効果を狙ってきやがった。

なお、バーナム効果とは、

誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分だけに当てはまる性格だと捉えてしまう心理学の現象。

Wikipedia – バーナム効果

例えば、血液型診断のような性格診断は、誰にでも当てはまるようなことばかり書いている。
中学時代、4人家族で4種の血液型をコンプリートしていたYくんが血液型別の性格を説明した本を学校に持ってきていたので読んでみたが、当てはまり度合いはいずれもあまり差がなかった。

当然ながら当たっているものもあれば当たっていないものもあったが、いちいち指摘していては時間がなくなるし、何の解決にもならない(そもそも本当に占いを当てにしようとしているわけではなく、あくまで占いの世界を覗くのが目的である)ので、占い全体を通してバカなフリをして「なるほど~」などと相づちを打ちつづけて過ごした。

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次に彼は、私が知りたい内容、つまり未来のことについて話し始めた。

彼曰く、私の留学は成功するらしいが、2020年(24歳の年)はあまり上手く事が運ばないそうで、転職などの大きな変化は避けた方がいいらしい。また、ちょうどその頃に恋愛絡みの何かがあるという。
(追記2021/05/18:2020年は就職後に関して言うと微妙であった。恋愛絡みはなかった)

26歳くらいまではモテるとのこと。(そのあとはどうなるのだろうか。心配だ)
なお、26歳から36歳にかけては仕事を頑張り、結構稼ぐのだという。しかし「そんなときこそ謙虚になる必要がある」的なことを言われた。そりゃそうでしょうね。

せっかくなら、もっと面白い内容を喋ってほしかった。
全体的に誰にでも当てはまるようなことしか言わない。当たり障りがなさすぎる。

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最後にタロットカードを引いた。以前友人にやってもらったときも思ったことだが、何とでも解釈できるのだから何だか後出しジャンケン感がある。

まあそうすることで解釈を多様にできる余地を残しておくことがタロットカードの面白さの一つなのかもしれないが、要は、これもまた、当たり障りのない、どうとでも取れることしか言わない傾向にある。

ただ「今の恋人とは別れがくるかもしれませんね」と言われたのが、どういうわけか尾を引いて、なんだかモヤモヤしながら、終了時間が来たのでその店をあとにした。少しイヤな気分になった。
そういえば、翌月に別れた。そのとき既に別れる兆しがあったけど。(そもそも一般的に21歳頃に付き合っている相手とそのまま一生添い遂げる可能性は結構低いので「まあそうですよね」という話なのだが)

そんなわけで、自分で入店しておいてなんだが、「アナタのような胡散臭いオッサンに自分の人生をとやかく推測・指摘されたくはない」という、占いに行く人間にあるまじき思考回路になっていた。

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また歩いていると、手相占い500円と書かれている店があったので入ってみた。

500円と銘打ってはいるものの、いざ入ってみると、顔の整った担当のオジサマ(日本人)に1000円の方をやたらに勧められた。

面倒なので、お金があまりないから500円ので良いと言い張ると、しぶしぶ手相占いが始まったが、時間はかなり短かった。3分くらいだったと思う。

なおメニューを見ると、10000円超えのコースもあるようで、驚いた。

最初に何を占ってほしいか尋ねられ、「今後恐らく留学に行くのでそれがどのようになるかを知りたい」と答えた。

そのせいでコールドリーディングをされたようで、好奇心旺盛で行動力があるだとか色々ポジティブなことを言われた。これまた留学する人物像を頭の中で描いた上で、当てはまっている確率の高そうな言葉を選んでいるのだろう。
確かに間違ってはいないが、信じない心持ちでいるからどうしてもそういう解釈になる。

二軒をハシゴしたことで、手相占いがどういうものなのかをある程度掴むことができたように思う。

こうした手法をモノにして悪用すれば、マインドコントロールするなどして他者を操ることもそう難しくはないだろう。

占いに関して考えること

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占いに行く人の根本にあるのは多くの場合、悩みを取り払って幸せになりたい、あるいは悩みを聞いてほしい、向き合ってほしいという願望だろう。

占いというものは、会話の焦点が常に客自身にある。
だから、話をちゃんと聞いてもらえている、関心を持ってもらえていると感じて、承認欲求が満たされるのだと思う。
その点ではキャバクラやホストクラブ、カウンセリングと同じようなものかもしれない。
占いにハマる人は、そこに強い心地良さを覚えているのだろう。

私は、心が救われるのなら、幸せになれるのなら、それでいいとも思う。人生は解釈次第なのだから。
実際、私も星座占い的なものが視界に入れば目を通すこともある。結構楽しい。

ただ、そうしたものに寄り掛かって思考停止をしてはいけないとは思う。
他の誰かではなく自分自身にしか自分の人生に責任を負うことはできないのだから。
他の誰のものでもない、自分自身の人生なのだから。

これからも自分の意思で、好きなように様々な選択をしていきたい。
そんなことを改めて思った、大学2年の春のある日のことだった。

2017.03

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