身の回りのモノとの関係について考える

価値観

2023年2月。引っ越すことを決めた。

モノが多いと、引っ越すのも億劫だ。無意識のうちに、フットワークが重くなる。
去年の年末含め、何度かに渡ってモノを減らしてきたが、まだまだ不十分だ。

その先の引っ越しも見据えて、物理的にだけではなく、精神的にも身軽になるためにも、この機会にもっとモノを減らすことにした。

手にしたモノに対する責任

私はもともとコレクター気質で、モノを捨てるのが苦手だ。モノに情が湧いてしまうからだ。

まだ使えるのに自分にとって必要ないモノは、無料でもいいからジモティ(地域密着型のフリマサービス)に出品したりする。取引が決まれば玄関先に出しておき、有料のモノであれば郵便受けに現金を入れておいてもらう。
たとえ自分の意思ではなかったとしても、そのモノを手にした責任を果たしたいと感じるのだ。

通常、動物を家に迎え入れたら、最期まで責任を持って飼育するか、責任を持って飼育してくれる誰かに譲るかのどちらかだろう。
たとえ命はなくても、モノについてもなるべくそうしたいと私は思っている。

別に霊魂など信じているわけではないが(存在しないと確信しているわけでもないが)、もし人は悔いが多いと成仏できないのだとすれば、モノも同じで使えるのに使われなければ成仏できない、ような気がする。つまり良くない状態。
人もモノも、役割を与えないと腐っていく。だから、使わないモノは持たない。
そういう考え方もできる。

家に取りにきてもらうとはいえ、出品のために文章を書いたり写真を撮ったりするのは面倒だ。
手放すのも手間だからこそ、今後はたくさん手放さなくて済むように、本当に欲しい・使うモノ以外は手に入れない(買わない・貰わない)ようにしたいと思えるようになる。これは個人的なこだわりの話だ。

2種類の賞味/消費期限と、存在意義

モノには賞味/消費期限がある。
そしてそれには、そのモノ自体の期限と、(使用者である)自分にとっての期限の2種類がある。

例えば、食品の期限は前者だ。記載があるので分かりやすい。同様に、家電にも耐久年数がある。
使いすぎて壊れたパソコンも、前者の期限を全うしたと言える。(早死にだったかもしれないが)

一方で、例えばまだ使えるけど使わなくなったヘッドホン、読めるけど読まなくなった本、ボロくなったわけでもないけど愛着が薄れたぬいぐるみなど…。

そのような、自分にとっては必要なくなった(自分にとっての期限は過ぎた)けれどもまだそれ自体の期限を迎えてはいないモノは、捨ててしまわずになるべくその存在意義を発揮してほしい。
それもなるべく、本来意図された用途で。

生きた関係を築く

自分にとっての期限を過ぎたモノについては、自分との関係は死んでいるか、かなり弱い状態だ。

自分と共にあるモノとの間には、使って有意義、使われて存在意義な、生きた関係を築きたい。その方が、気持ちがいいと私は思う。

「所有する」よりは「共存する」意識で。関係が冷めたら、執着することなく、互いに離れる。共に過ごす時間の長さは重要ではない。

どうせ死ぬときは何も残らない。生きた関係でないモノを手放すのを惜しむ必要はない。

The way to love anything is to realize that it may be lost.
全てを愛する方法は、いつかそれを失うことになるかもしれないと認識することだ。

Gilbert K. Chesterton(G・K・チェスタトン)19世紀イギリス出身の作家

手放す対象は、家の中に入るモノに限らない。今住んでいる家や、住環境も然りだ。例えば都会に住んでいるのにその旨味を活かして/活かせていないのであれば、その家との関係を終わらせることを考えてもいい。

またそれは、固形物とも限らない。ほぼ使っていないサブスクも、ほぼ行かないジムも、長年使っていないアプリも、何の役に立ちようもないHDDのデータも、惰性で続けている習慣も。

求められる方へ、手放す

もちろん、モノを日常的に使い続ける必要はない。冬物の服は冬だけでいい。旅行バッグは旅行に行くときだけでいい。5年に1回はやりたくなるゲームは、5年に1回でいい。

しかし、使える局面があるにも関わらず、ずっと使っていないモノ(例えば数シーズン連続で使わなかった冬物の服)、あるいは使える局面自体が今後も全く/ほとんどないモノ(例えば去年一度もつけなかったテレビ)については、それを欲している人、使ってくれる人のところへと手放したい。その方が存在意義を発揮してもらえる。
そこでもすぐに使われなくなるかもしれないが、自分が全く/ほとんど使わないよりはマシだ。
あとでやっぱり必要になれば、また手に入れればいい。

求める誰かが周りにいなければ、自治体の取り決めに従ってゴミに出せばいい。火力発電や資源の再利用。それもまた、求められる方だ。

2023/02/22

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