起床する時間に関係なく、「目覚めてから活動を開始するまでの時間のギャップ」に課題を感じている人は少なくないだろう。
特に寒い冬はベッドから出るのが億劫になり、寝転がったまま無為にスマホをいじりつづけたり、充分に寝たはずなのにさらに惰眠を貪ったりという事態に陥りやすい。
それ以外にも、低血圧やドライアイの人などは特に、起床時に辛さを感じやすい。(目が開けにくいなど)
また、活動を開始できたはいいものの、いまいち集中できない、ノッてこないという人も多いだろう。私自身が、そうだった。
じゃあどうすれば、目覚めたあとグダグダせずに波に乗ることができるだろうか。
その具体的な解決策を考える前に、まず何より重要なのは、「目覚めたあとグダグダせずに一日をスムーズに開始できることの自分にとっての意義」を明確にすることだ。
テクニック云々はそのあと考えるものであり、変化を起こすにはそれなりの理由がなければ結局続かない。
- やりたいこと/やるべきことにもっと時間を費やせる
- 一日の滑り出しをすることでその日が全体的に引き締まり、できることが増える
- 時間を有効に活用できているという感覚が自己肯定感に繋がり精神衛生的に好ましい
例えば以上のような項目が意義として考えられるだろう。
それと同時に考えるべきは、なぜ、そのような欲求があるにも関わらず、未だそれができていないのかということだ。
必要に駆られれば、大抵の人はスムーズに一日を開始できる。
つまりは、
- やりたいと思ってはいるが、実は本当にやりたいというわけでもない(重要度が低い)
- 別に今のままでも大きな問題はない(優先順位が低い)
- やるべきことになるべく向き合いたくない
- 「『朝に弱い』という特性」は自分にとって都合がいい
などといった事情が、前提として存在するのではないだろうか。
そのあたりに向き合い、その上で改めて目覚めたあとグダグダせずに一日をスムーズに開始したい人が、そうすればいい。
前段が長くなったが、というわけで今回は、私がこれまで試してよかった、目覚めたあとグダグダせずに一日をスムーズに開始するテクニックを挙げていきたいと思う。
刺激連鎖法(小指起床法)
試行錯誤の末に編み出した起床法。
布団から一気に飛び起きるのが無理でも、右手の小指をピクッと動かすくらいは誰だってできるはずだ。
動かせたなら、次は薬指を動かす。その次は中指。そんな感じで指を全部動かしていく。次に手首を、そして肘を。さらには肩、反対の腕、下半身、首などに、動きを徐々に波及させていく。
小さな動きから始まったのに、いつの間にかあなたの身体は、まるでサナギ状態から羽化せんとする夏の夜の蝉のように、布団の中で大きく蠢いていることだろう。もういけそうだな、という感覚を掴めれば勝利は目前。ベッドから飛び出そう。
眠気はあまりないがベッドから出るのが億劫なときに特に有用である。
なお、これは起床時に限らず、生活の様々なところで活用できるので、一日を通してグズグズする時間をかなり削減できるだろう。
刺激的目薬 on スマホ法
アラームをセットしたスマホ(または時計)の上に、清涼感の強い目薬を載せた状態で就寝する。
アラームで目覚めたとき、止めた直後にそのままその目薬を眼球に垂らす。起きたときに目が開けづらいドライアイの人には特にオススメ。
「(スマホや時計など)アラームの上に載せておく」というのがポイント。寝ぼけていても流石に存在を認知できる。
生活の全てにおいて言えることかもしれないが、行動が連なるように導線を確保しておくことが重要である。
朝テクノシャワー法
アラーム音にダンスミュージックの一種「テクノ (Techno)」を採用する。購入楽曲をスマホのアラーム音に設定し、止めずに聴き続けることで目を覚ましていく。
テクノのBPMは120-140ほどであり、覚醒作用があり、朝からテンションをブチ上げるのに一役買う。
ここに目覚まし手段として有用な「朝シャワー」を組み合わせて、スピーカーでテクノを流してシャワーを浴びながら小躍りする中で、脳と身体両面から覚醒させるというアプローチが効果的だ。最後は冷水を20-30秒ほど浴びて締める。
余談だがテクノは私が最も好きな音楽ジャンルの一つであり、最近はこの方法をよく用いて覚醒している。テクノ以外にも、サイケデリックトランス(Psychedelic Trance)やドラムンベース(Drum’n’Bass)といったジャンルも、BPMが早くて目覚めにいい。
とはいえ、好みのジャンル・曲で気持ちよく目覚められるのであれば、もちろんそれでいい。
モーニングトーク法
誰かにモーニングコールしてもらう。ただし、ただそれをアラームとして機能させるだけではない。(それならスマホなどのアラームと変わらない。)
数分ほど会話を交わすのが肝だ。話題はその日やることなど何でもいい。相手の話を聴き、自分も話す中で、自然に脳を覚醒させることができるし、やる気が湧いてくる。幸福度が高まる。
もしくは自らモーニングコールをかけるのでもいい。同じくらいの時間に起きる友達などと約束して、日毎に互いに掛け合うというのも一つだろう。
余談だが大学1年のときにジモティでモーニングコールを無料でしてくれる人を募った結果、大阪堺市の30代主婦からしばらくかけてもらい数分雑談するのが一時期日課になっていた。知らない人だからこその緊張感もあり、目覚めにとても良かった。モーニングコールかけたい人とかけられたい人のマッチングアプリとかあってもいいと1mmくらい思う。
朝の軽量タスク選抜法
午前中に仕事など何かやらなければいけないことがあったとしても、着手するのが億劫だったりする。そうしてグズグズしているうちに時間はどんどん過ぎていき、色んなことがどんどん後回しになっていく。
しかし、いざ一度始めてみると、5分や10分経つ頃には、すっかり集中しはじめている、なんてことは誰しも経験があるだろう。この現象を作業興奮という。学生時代、臨床心理学の教授が言っていた。「始めた時点で半分終わったようなもの(つまり”始める”とはそれ自体が既に価値のあること)」と。
そして、その「始める」が難しい。であれば、ハードルを低く設定する。「これなら朝起きてすぐにでもできる」タスクを用意しておくのである。例えば洗濯、机周りの整理、読書、何らかのリサーチ、スマホの設定見直し、病院の予約…など、軽めのタスクを10個20個とリストアップしておき、その中から前日までに1-3個ほど選抜しておく。あるいは朝の気分で決めてもいい。
それをやり終える頃には、ギアが入り、チューニングされ、より大きなタスクに取り組みやすい状態に近づいているだろう。
セカンドアラーム in ポスト法
目覚め用のアラームをかける。郵便受けや玄関前、自転車カゴなどに事前に仕込んでおいたもう1つのアラームがその1分後くらいに鳴るようにセットしておく。近所迷惑になるし、止めにいかざるを得ない。そしてそのまま10分以上の散歩に出かける。大した準備をせずに外に飛び出せる格好で寝る必要がある。
起床後30分以内に15-30分程度の日光浴をすると特に、幸福ホルモンとも言われるセロトニンの分泌が促される。その結果、健康や睡眠に関して重要な役割を果たすメラトニンの分泌が司令される。その約15時間後にメラトニンの分泌量が増加し、眠りに就きやすくなるという効用もある。リモートワークなどで外に出て陽を浴びる機会が少ない人には特に推奨できる。
眠りが深すぎて起きれないことがある人の場合、第1段階のアラームには爆音目覚まし時計を使うのがいいだろう。
注意点があるとすれば、特に導入初期において、アラームを郵便受けに入れたことを忘れてしまうこと。対策として、第1段階のアラームをいつもと違う場所に置く。目覚めたとおきの違和感がトリガーとなり、外にもう1つセットしたことを思い出せるだろう。
5分ほどの猶予を設け、それまでに洗顔・日焼け止めなど準備をしてから止めにいくなど、様々なスタイルが考えられる。
なお私はやったことがない(記事を書く中で思い付いた)ので、今度やってみようと思う。
スタンディング覚醒法
朝起きてなるべく早くデスクワークに取り掛かりたい人は、まずは座るよりも立って作業した方が身体を目覚めさせるにはいい。
そのために、立ち作業に適した「スタンディングデスク」を導入する。高さを変えられる電動昇降タイプなど色々ある。
立った状態であれ座った状態であれ、長時間同じ姿勢をキープするのは血流などが滞って身体に悪いので、立ったり座ったりと自在に切り替えられるスタンディングデスクの導入は、目覚め云々を差し置いても推奨できる。もちろん気分転換にもなり、集中力が上がる。
その他アイディア
・目覚まし時計を大量にセットする
・スイッチボットでカーテンを自動で開けて光を浴びて目覚めを良くする
・爆音目覚まし時計を浴室に置き、止めたついでにシャワーを浴びる
・睡眠サイクルを考慮して起こしてくれる目覚ましアプリを使う(SleepCycleなど)
・暖房のタイマーを起床時間の少し前にセットする(冬場)→ベッドから出やすくなる
・暖房のタイマーを起床時間の少し前にセットする(夏場)→暑くて早くシャワーを浴びたくなる
などなど。何にせよカーテンは全開にした方がいい。(夜型生活の人などは除く)
あとはやるかやらんか。
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