A Night while Lucy was in the Sky with Diamonds

雑記

食欲が急激に失せ、時空が歪む
体が小さくなったり大きくなったり
引力の方向が何度も変わったり

この日のために生まれてきたのか
これまでの人生は一体なんだったのか
自分という存在は一体
でも自分からは逃れることができない
どうあがいても他の何者かにはなれない
そんな絶望の中、体は快感に包まれる

雑に服を着込んで外の世界へ
足は勝手に前へ前へと運んでくれる
道や方向が分からなくても何とかなるような気がした
でもそんなことはなく、理性で道を選び直す

代々木公園に辿り着く
まだまだ人がいる
人がいない方へ、明かりのない方へ
仰向けになって空を眺める
木が枝を伸ばして揺らしている
人の気配が視界の縁で蠢く

階段を登ると一気に光が弾ける
まるで神にでもなったかのような心地で
音楽とともにまっすぐに突き進んでいく

街には人がたくさんいた
それぞれのストーリーを背負って
一人の人間として、一つの生き物として
皆小さくか弱い存在、自分もその一つ
でも皆どこかで繋がっているんだ

舞台は見慣れた光景、渋谷へと移る
「マスクを外しましょう」
宣伝カーがゆっくりと交差点に向かう
マスクをしていない私に
運転手が笑顔でグーサインを送ってくる
半笑いでサインを返す

別に賛同してるわけじゃない
ただ私は私の気分で外していただけだ
どんな信条でやってるかは知らないが
同類とは思われたくないという意識が
少し遅れてやってくる

道端の老人と目が合う
その横には、被爆2世だろうか
顔の崩れた女性もいた
少しギョッとしたが笑顔を向ける

小さな紙を渡される
生まれてはじめて鶴を折った
といっても脳はそれどころじゃないので
半分くらい折ってもらったけれど

8月6日か9日を人類総懺悔の日に
そんな活動らしい
そのとき生まれていなかった人類も
懺悔しなきゃいけないのかな
戦争しないと決意する日?違うな
経験したことがないから

渋谷から青学の前を通り、表参道
いつぞや何度か来た善光寺で小刻みにステップ
誰かとキスして別れた外苑前

そして深夜の青山霊園
存分に散歩してみたかった場所
眠りに就いた霊たちの間を小さく踊る
暗い方へ、暗い方へ
明るい方へ、明るい方へ

情緒ある静かな音楽に心を乗せる
道に大の字になって仰向けになる
壁のような明るい都会の空を見つめる

小さな悲鳴が聞こえて頭を上げる
ランニング中の若い女性
でもその後ろには男性もいた
ここで出逢いが生まれたら素敵だったろうに

そしてもと来た道を戻る
長い長い道のりだった
ここを歩いたのは随分と昔のことのよう

渋谷駅前広場
さっきもいた2人組の女性
掲げる画用紙には「フットサルしましょう」
宗教ですか、と尋ねる
よく言われるらしい
テンプレなことを吐いた自分のセンスを恥じる
中身のない雑な雑談をいくらか交わす
酔ってます?の一言に取り繕おうとする

AirPodsの充電が切れた
訪れる静寂
もっと音が欲しい
だからクラブを探した

最前列で体を揺らす、弾ける
目を瞑って音に身を委ねる
光が体を何度も差し込んでくる
皆と繋がりたい感覚
大丈夫、敵じゃないから
皆と一緒にこの場を楽しく共有したかった

いい出逢いに少しは期待してみたけれど
そんなものはなく、ただよく踊った
まだ暗い3時半頃には店を出て、西へ西へ
冷たいジュースと温かい缶コーヒー
頬を温め、雑音を避けて歩いていく
坂を越えていく、そして静かな部屋の扉を開ける

2021.02.07

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